第3話 探検家、ウラノ
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イヴとクロノの父、ウラノは探検家でした。
二人の母であるイアがアーカイバーとしての使命を果たしつつ、二人の子どもを育てる傍らで、彼は原初の記憶碑の他に記憶碑が存在しないのかを探していました。
伝承によると、原初の記憶碑となる前には多くの記憶碑がありました。
そして最終的にオリンポス神の全ての記憶碑と、ティタン神族を統合した記憶碑が破壊されました。
ティタン神族の記憶碑は、統合されたものが破壊されただけであり、この世界のどこかに残る11柱の記憶碑が存在している可能性があったのでした。
ウラノは先祖の代からずっと、守人の一族としてその11柱を探し続けていました。
双子がどちらもアーカイバーの資質があると分かった時、ウラノは絶望を感じていました。
そして自身の役割を強く感じていました。
ティタン神族の記憶碑が現存し、それを守るアーカイバーがいるのであれば、その加護を使ってイアと子ども達を救えるかもしれない。
その想いを胸に、ウラノはほとんど家に帰ることなく記憶碑を探し続けていました。
そして双子が成人を迎えた日、イアは命を落としてしまいました。
ウラノは起こるとわかっていたことを防げなかったことを強く後悔しました。
クロノ「父さん、僕はアーカイバーとしての使命より家族を取るよ。」
母を失ったクロノが決意を持ってウラノに話をしていました。
ウラノ「お前たちの使命は母さんが誇りに思い、守ってきたものだ。家族を大切に思うなら使命を全うするんだ。」
ウラノはクロノが行おうとしていることに察しがついていました。そしてそれは、加護が完全ではないクロノを苦しめることだと理解していました。そのため、ウラノは認めることができませんでした。
クロノ「イヴがいる。あいつは使命に関しては保守的だし、母さんの意志を継ぐのはあの子だ。僕はイヴのためにも、父さんのためにも、やるべきことをやる。」
ウラノ「なにをするつもりなんだ。」
クロノ「記憶を扱う会社を創るよ。力は有効に使わないとね。」
ウラノにはそれがイアのためであり、クロノがイアを創り出そうとしていることを予感していました。
そして、クロノがイブに加護を与え、クロノ自身には十分に加護が行き届いていないであろうことも理解していました。
ウラノ「クロノ、お前は加護をイヴに与えただろう。お前の加護は完全ではないはずだ。その状態で力を使い続けるとどうなるか、お前も見ただろう。」
クロノ「…父さんはやっぱりわかるんだね。なら正直に言うよ。僕は母さんを蘇らせる。そのために人々から母さんの記憶をもらう必要がある。そしてそれは商業的に行った方が早く、多く、利益を上げて行うことができる。」
ウラノ「…わかった。クロノ、俺がなぜ家を空けていたかはわかっているな?もうイアはいなくなってしまったが、クロノ、お前まで失うわけにはいかない。俺が絶対に見つけてくる。だから…無理だけはするな。」
クロノ「…わかった。」
ウラノ「イヴは絶対に認めないだろうな…。」
クロノ「あいつにはなにも言わないつもりだよ。もともと僕は力の使い方を模索していた。既に構想はできてるんだ。お金の心配もないし、あいつは僕が守る。僕がやることを止めないだけでもあいつは父さんを批判するだろう。父さんとまで関係を悪くさせる必要はない。父さんは気にせず探検を続けてくれ。僕が全て処理しておくよ。」
ウラノ「クロノ、お前は絶対に俺が守る…。」
ウラノはそう言って再びティタン神族の記憶碑、アーカイバーを探し出す旅に出るのでした。
そしてクロノは父が失踪したことにし、イヴには一切のことを言わなかったのでした。




