第2話 MMC、クロノ
更新を待ってくれている方がいらっしゃれば、
ブックマーク・いいね・評価していただけると嬉しいです!!
Memory Monument Company(MMC)は、クロノが原初の記憶碑の力を使って、あらゆる記憶に関するサービスを展開していました。
最も利用されているサービスとして、記憶の映像化がありました。
それは冠婚葬祭などで重宝され、MMCは人の生き死にや祭事と密接に関わる企業となっていました。
また、今までアーカイバーは国家との密接な繋がりはなく、原初の記憶碑の叡知に基き、必要であれば国家との連携を取っていました。
しかし、MMCができたことによって、金銭さえ払えば国家も原初の記憶碑の力にあやかることができるようになっていました。
そうして主には国家から莫大なお金が入り、MMCは巨大企業として成り上がったのでした。
―MMC内部―クロノの私室―
クロノ「母さん、今日もたくさんの記憶が入ったよ。でもどれも母さんにはなれない無価値なものだったよ…。」
部屋の中央にある、無数のコードが繋がれた美しい女性が収容されている、円柱の水槽のようなものに向かって語り掛けていました。
人は命を全うしたとき、原初の記憶碑に還っていきます。
ですが、アーカイバーだけは原初の記憶碑に還ることはありませんでした。
アーカイバーの記憶は残りません。
クロノは原初の記憶碑の力を使って、母に会うことはできないのでした。
そこでクロノは考えました。
母と関りのあった人の母に関する記憶をすべて集め、その記憶だけを母の体に入れてしまえばいい。
そうすればクロノの愛する母が戻ってくると。
そのためにクロノはMMCを立ち上げ、人々から記憶を吸い上げやすい環境を整えました。
同時に、母の体を保つには莫大なお金も必要でした。
そうして今のMMCが確立されていったのでした。
母が二人に加護を与えて亡くなったとき、母の加護は二人を完全に守るには足りませんでした。
クロノはそのことに気が付き、自身に与えられた加護をイヴに分け与えていました。
そうしてイヴは完全に守られるだけの加護を手にしました。
その結果、クロノには今までのアーカイバーたちのように原初の記憶碑の力を使い続けるにはとても及ばない程の加護しか残っていませんでした。
普通の人間として生きていく分には問題ありませんが、アーカイバーとして力を行使するには危うい、そんな状態でした。
ですがクロノは目的のために原初の記憶碑の力を使い続けました。
そしてその度彼は脳を焼かれる痛みに襲われ続け、徐々に自我を失っていっているのでした。
クロノは目的を達成するためには手段を選ばない、狂人ともとれる人間へと変わっていったのでした。