004 「ホウレンソウ」は「報告・相談・連絡」をしなさいと言う意味の言葉じゃなく、それがスムーズにできる社内の環境を作れと言う意味と知る。知らずに事務所に張っていた僕が勤めた会社が倒産したのは必然。
まとまらないうたをおおきなこえでうたおう
今年の初夢はこんな夢だった。
仄暗くて湯煙漂う温泉で僕は湯に浸かっている。
僕の他には誰も客はいなくて、貸し切り状態だった。
湯煙で浴槽の端は見えないくらい広く、一人であることを良い事に、僕は湯に浮かんでいた。
薬湯なのか、元々がそういう色なのかは解らないが、お湯は黄土色に近い色をしていて、底が見えない程に濁っている。
もはや僕がお湯なのか、お湯が僕なのか解らないくらいに僕はリラックスしており、こうしていてもうどれくらいの時間が経っているの解らない。
その時、僕の体の下を何かが舐める様に通り過ぎた。
驚いた僕は足を付き、慌てて周りを見回すのだけれど、お湯が濁っているせいで何も見えないのである。
気のせいかと思ったが、今度は足元をヌルヌルと何かが蠢いた感触に思わず声が出てしまう。
そして、すぐ横を見ると大きな白蛇が僕の横で泳いでいた。
恐怖心はないのだけれど、僕は右手でその白蛇の首を掴んで確保する。
しかしもう一匹、僕の目の前を泳いでいたのでふさがっている右手ではなく左手で掴み、僕は両手に白蛇と言う状態になったのである。
よく見れば、二匹ともかわいい顔をしていて、白い体はお湯の黄土色と合わさって、黄金色に見えるのである。
しかしこの状態をどうにかしたものかと思ったとき、浴槽にはすでにお湯ではなく数えきれないほど多くの黄金色の蛇に満たされていたのである。
蛇にまつわる夢と言うのは、夢占いで言うならば「創造」と「破壊」、「神聖」と「邪悪」などを表しているという事を何かで読んだ事がある。
夢でなくとも宗教では「神」「神の使い」「永遠」「悪魔」などの象徴してされていることもある。
意味合いとしては相反するものを現わしたりする二面性のある存在であるのだけれど、僕が一番に思い出したのは
「蛇にまつわる夢を見たら宝くじを買え」
と言う迷信である。
何でも蛇の夢は内容にもよるけれども、金運アップに幸運を呼ぶと言われているそうで、僕もそんな与太話に思いを乗せて、ロト6とミニロトを五千円ずつ購入したのだった。
ミニロトの結果はまだ全て出ていないのだけど、ロト6はなんと二千円も戻ってきた。
まぁこんなもんだなと思いつつ、まだ残っているミニロトに微かな希望を持っているのだけれども、その結果が出る前に会社が倒産してしまったわけである。
無職になったわけであるから、まるで逆夢な感じなのだけれども、よくよく考えてみれば二十年分の退職金が出ることになったのだから、もしかして金運アップ?などとそう考えなくもないのである。
なんせ退職金は300万を超えてくる。
今まで見たこともない金額であるのであの夢は正夢だったのだろうか?
もちろん、再就職ができるその日までの貴重な生活費ではあるのだけれど、僕は今しか考えない男であるので、それだけでウキウキな気分である。
金が入ったら飲み行けるとか、京都に旅行に行こうかとか、新しいパソコンを購入しようかとか夢は広がるばかりなのだが、退職金が振り込まれるのは早くても四週間後であった。
今のところ離職票さえ届いていないので、終わった手続きは退職金を振り込んでもらう手続きだけであった。
しかも必要書類の準備が面倒くさい。
マイナンバー入りの住民票を区役所に取りに行き、退職金を振り込んでもらう口座のある銀行にハンコを貰いに行き、身分証明である運転免許証のコピーを取り、銀行でハンコを押してもらった書類に記入して、郵便局に行って書留などの郵送物を追跡できる方法で送らなければならない。
僕が給料の振込先にしていた銀行は市内に一か所しかなく、街の中心部であった。
本当ならば公共交通機関で行ったほうがいいのだけれど、交通費が勿体ないので車で行ったのだが、やはり駐車料金の方が高くついてしまった。
最初に働いた会社でも退職金の基金に入ったという事を入社してから何年か経ってから言われたのだが、経営が苦しくなって払えなくなり辞めたという話を倒産間際に聞かされて、実際に払ってもらった記憶はない。
しかしこれは会社が払っていたものなのであまりあれこれ言う気はなかったのだけれど、ついこないだまで働いていた会社は残業代も休日出勤手当も無い会社なので、基金の積み立てくらいは当然だと思えてしまう今日この頃。
明日には離職票が届くだろうか?
届いたら取りあえずハローワークに行って、失業手当とか未払い給料の手続きをしなくてはならない。
その次は健康保険証の手続きである。
そして年金とか税金とかの手続きが待っている。
なんか働いていた頃より忙しい気がするのはなぜだろう?
今までは会社に行けばそれで済んだ話だったが、市内の各地を右に左に動き回らければならないのと、五年くらいずっと夜勤のをしていたので、お天道様の下で生きていく生活になかなかな戻れないというのもあるかもしれない。
求人サイトを見ていたら「男のガッツリ稼げる仕事」歌い文句にしているサイトがあったのだが、ナイトワークと言うジャンルばかりではあるが、確かに高給であるのは間違いないのだけど、高すぎて怖いイメージしかないのである。
それでもすでに年齢制限から大きく外れた仕事なので、選択肢に入らないというのは気楽なものである。
本屋で社労士とかの問題集を見たのだが、すでに高卒なので資格はない。
行政書士は特に受験資格は無いようだけれど、市内で受験可能な高校の中の下から二番目だった学校を卒業した自分に目は無い様に思う。
ひよこ鑑定士は難しいだろうし、養成学校に通わなければならないような事が書いてあった気がする。
2ちゃんねる元管理人の西村ひろゆきの本を読んだりしたが、小さな会社でいいから自分の会社を作り、著述家として収入を得れば何でも経費で落とせるみたいな事も書いてあったが、そんなバイタリティーがあるならば、二十年間もブラックで業界自体に未来のないところで働いていないはずである。
生きるってむずかしい。
それでも、命まで取られるような必要はないと思う。
前の会社がどれだけブラックだったかと言えば、自分が本当に辛かったころは、出勤するのに家を出てバス停に向かっていると、気分が悪くなって吐いてしまうという事が何度もあったということである。
睡眠不足が祟って調子を崩していたのかもしれないが、それまで霊感なんて全くなかったのに、幽霊を見るようになった時期でもある。
社員が増えるにつれてプレッシャーが分散されたころには吐き気も幽霊も見なくなったので、おそらく精神的なものだったのだろう。
きょうくん
ななころびやおきはしちてんばっとう