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013 平日だと言うのに無職の僕はブラブラと期限のある優雅な日々を過ごしているのだけれども、思った以上に平日にブラブラしている人の多さに驚いてしまい、自分がいかにこれまで社畜だったのかを知る

ないてなんかいないや


 勤めていた会社が倒産してひと月が経った。

 今だこれからの行く末を決定するには至っていないのだけれど、それでも退職金が入金されたことにより、だいぶ生活は豊かになった。

 起床時間は午前六時なのだけれど、それから昼までの時間はは昼寝の時間であると言っておく。

 うつらうつらとテレビを見ながら意識を失い、目が覚めたら一服しつつまたうつらうつら。

 意識がきちんと覚醒するのは午後二時ごろで、飯を食い血圧の薬を飲んでから母親を買い物に連れて行くというのがルーティーン。

 その後は午後四時くらいからパチンコ屋で業務に励むのだけれども、さすがに僕の母親の様に閉店まで打つ体力はなく、出てれば午後七時くらいには切り上げて、本屋に行くなりドン・キホーテにいくなりと、雑務をこなしている。

 ここしばらくはパチンコの調子がよく、真・北斗無双で10万勝って六万負けて七万勝って三万負けて四万勝ち二万負けて、二万四千勝つという割かし上々な成績を残しているのである。

 とは言っても、生涯成績で言うならばすでに三千万くらいは負けていてもおかしくないレベルであるので、一喜一憂もないのだけれど、今はただ元手を減らさないように心掛けている次第である。

 そんなパチンコ付けな日々を送る僕なのだけれど、一緒に働いていた人たちは当然の様に僕の行動を想像できるようで、ちょうど僕がパチンコを打っているときに送られてきたラインを見てみると、元上司で浅川課長から


 「パチンコ屋にいる?」

 

 浅川課長は、僕がいる店も把握しているので、ここでいませんよと送り返して後で現れられたら面倒なので、僕はいますよと送り返したら、十分後に僕の後ろにぴったりと張り付く気配を感じたので振り返ると浅川課長がいたのである。

 ちょうど僕は連チャン中で確率変動状態であったのだけれど、リーチの掛りが悪いので、休憩しようと思っていたので席を立ち、浅川課長と共にパチンコ屋の大きなソファーのある休憩所に移動したのだった。


 「どうですか。次の仕事決まりましたか?」

 「まだ何にもしてないんだよね。来週からは本気で探そうと思っているんだけれども、難しいなぁ」


 それは四六歳の僕よりも五つ年上の五十一歳である浅川課長が仕事を見つけるという事が大変であるというのは言うまでもない事だろう。

 もちろん、潰れた会社とは言え課長と言う役職が付いていた浅川課長ならば、その持てる技術を乞われて誘いもあるかもしれないのだけれど、それでもやはり同じ技術者であるならば凝り固まった老害ともいえる年齢の人ではなく、未経験でも若い人を取ろうという会社が多いかもしれない。

 ある程度年数を経てきた職人と言うのは、むしろ扱いづらいと考えてしまうだろう。

 まさに扱いづらい人であるという認識を、社員全員から思われていた浅川さんなら特に。


 「僕も何もしてませんよ。むしろうんこ製造機としての本領を遺憾無く発揮しているくらいで、ダメ人間の鏡であると胸を張って言えます。そもそもハロワークの仕事って、ネットの求人サイトで見るよりかなり安い気がするのは気のせいですかね?」

 「ウチの会社が離職率が高すぎて、ハロワークに求人が出せなかったように、ネットの求人は少し盛っているんじゃないのか?そう言えば俺はハローワークで認定日の後の面談で基本給二十五万くらい無いと家のローンとか家族を養っていけないっていう話をしたら、そんなところはありませんよって言われたわ」

 「自分が見た中でも今までの業種では良くて二十万くらいだったですからね。酷い所だと十三万五千円という所がありましたよ。多少は手当てがそれに付くみたいでしたけど、十四万からいろいろ引かれてどうやって生活して行けと言うんですかね。健康的で文化的な最低限度の生活を表する生活保護の金額よりだいぶ安いですからね。国保は減額とはいえど、払わなければいけないですし、年金はまだ未定ですし」

 「働けど働けど赤字になっていくリアル」

 「ですけど、会社倒産してから僕はとっても充実した生活を送っていますよ。お金はまだ余裕があるし、時間は無限にあるようなものだし、働いていた時に比べたら充実した日々を送っているんですけれどw もちろんこれはお金がある間だけの期間限定無敵状態なだけなんですけど、マジで快適なバケーションタイムです」

 「そんなのオマエだけだ。この外道め。家族を抱えている人はそんなことは言ってられないからな。生きているだけで金がかかるんだから」

 「むしろ勝ち組と言っていただきましょうか。こんな状態を見込んでこその生涯独身です。何かに縛られる事も縛られることも無く、風が吹くまま気が向くまま。最悪の事態の時は野垂れ死んだらいいじゃない、ですからね」

 「後先の事を考えてないからっていうだけだろ。そんなのは自暴自棄でしかないじゃないか。人は一人では生きていけないんだ」

 「人は一人で生きていけますよ。寂しすぎて死んじゃう人もいるかもしれませんが、僕には漫画とパチンコがありますから何とでも生きていけるわけなのです」

 「ほんとうに寂しい奴だな。まぁ、杉岡がそれでいいなら知ったこっちゃないんだけれども。と言うか自分の事で精一杯」

 

 半分冗談で、冗談でもないような事を三十分ほど話して浅川課長は帰っていった。

 僕は確率変動中で連チャンしているパチンコ台に戻り、業務を再開させたのであった。



 閑話休題


 朝目覚めると歯が痛かった。

 虫歯である。

 もう治療していない歯は下段前歯くらいしかないのだけれど、それでも前に歯医者に行ったのは七年前くらいになり、しかもそれは治療中の歯もまだあったのに仕事が忙しくなって行けなくなってしまい、放置してしまった辺りが痛み出していた。

 これは歯医者に行くしかないと思ったのだが、以前通っていた歯医者は腕はよかったのだけれども、仕事の合間を縫って通うために潰れた会社の近くの歯医者に通っていたので自宅から車で三十分も掛かる場所にあり、もう二度とあの会社に行く理由が無くなってしまった僕からすれば遠すぎた。

 なので自宅近くの歯医者に行くことにしたのである。

 スマホのマップアプリで検索すると、コンビニよりも多いのではないかと思うくらい、近所にたくさんの歯科医院が存在していた。

 もちろん、僕の暮らす地区が極端にこのご時世から言えばコンビニの数が少ないと言えると思うのだけれども、その中から僕が選んだのは自宅から1キロほど離れた場所にある、某大手病院の系列に当たる歯科医院だったのである。

 なぜ自宅から一番近い所で100メートル先にも歯科医院があるのに1キロ先をわざわざ選んだのかと言えば、100メートル先の歯科医院は個人病院であったからと言うだけの理由であり、大手病院の系列と言うネームバリューを信じたからと言う理由だった。

 予約もせずに行ったので、受付の女性にコイツは何しに来たんだ的な顔で見られたのだけれども、自分的には痛いので、できれば早く見てもらいたいから病院に来たわけであって、別に既に予約を入れている人を押しのけて優先的に治療してくださいと言っているわけではないのである。


 「予約を入れている患者さんが優先になるのでしばらくかかりますが?(予約も無いのに、ほかに行けよ)」

 「全然大丈夫です。時間はいくらでもあるんで待てますから(無職なので)」

 

 そんな感じで午前九時半から待ち始め、いったい何時間待たされるのかと思っていたのだけれども、治療が開始したのは午前十時十五分だったのでそれほど待たなかった。

 歯科助手の方に全チェックとレントゲンをされ、レントゲンが上がるのを待って治療が開始されたのだけれども、虫歯は確かにあったのだけれど、僕の今回激痛の原因となっていた歯は虫歯ではなく、もう既に銀歯が入っていたすでに過去の治療で神経も抜かれている歯の根の部分が炎症を起こしているから痛みがあるとのことだった。

 そう言えば顎からのどにかけて引っ張られるように痛くて、のどが痛いのは風邪でも引いたかと思っていたのだけれど、どうやらその炎症の影響であるようだった。

 とりあえず、銀歯を外して詰め物をしただけで、かみ合わせに余裕が出来て痛みはだいぶ引いたのだった。

 しかし、炎症という事なので、微妙に痛みはまだあった。

 とりあえず、今回はこれで終わり、次回予約を入れえた日に時間をかけて治療するという事で、今回は様子見で薬が出されることとなった。

 会計で次回の予約を入れる。

 早くて一週間後ですねと、事務の人が言う。

 薬は三日分しか出ていないのに。

 


 閑話休題。


 パチンコ屋も歯医者もそうなのだけれど、買い物に行くスーパーマーケットやドンキホーテに行くと、平日の昼間なのに何でこんなに人がいるのかと思う事が無色になってからよくある。

 もちろんまだ世の中は春休みで学生さんたちがいるのは解るし、ジジババがたくさん病院にいるのは理解できることではある。

 ただ僕と同じくらい、ちょうど働き盛りの若者が平日の昼間に思ったよりたくさんウロウロしているのを見て驚いてしまう。

 人それぞれに仕事の業種や働く時間の差があるのは当然で、それがあるのは当然なのだけれども、それでも平日の昼過ぎのパチンコ屋にいる人々の数は異常であるのではないだろうか?

 某有名大手チェーンのパチンコ屋に行ったときは、大型店だと言うのに平日の午前十時半には人が多すぎて座る場所がないほどで、僕は入店して五分で打つのをあきらめたくらい込み合っていたのである。

 僕が言う事でもないかもしれないけれども、大丈夫かなこの国は?

きょうくん よのなかはわりとすろーらいふ

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