009 闇をのぞこうとする者は、闇からも覗かれているというけれど、闇を覗くわけだから一方的に不利なんじゃないかと思うのだけど、そんなことを気にしたところでお天道様は輝いている
やみはふかい
無職の朝は早い。
寝たのは午前二時過ぎだったと思うのだけど、目覚めたのは午前六時半だった。
何もすることも無いから、疲労が蓄積することも無く、目覚めてしまう。
その後はダラダラとテレビを見て、眠くなったら昼寝して、お昼の情報番組を見る。
またダラダラと過ごし、夕方に母親を買い物に連れていく。
その後はフラッと本屋に行き、一通りチェックをすると家に帰り、飯を食いテレビを見て、その後はなろうに投稿する文章を二時間ほど入力する。
目標は二千文字前後。
これがここしばらくの生活サイクルである。
ほぼニートであるのだけれど、これで良しと思っているわけではない。
働いていた頃はやはり仕事の時間と言うものがあるから、たばこもそれほど吸ってはいなかったが、今はオールタイムフリーダムなので吸い放題であるために、無駄に吸ってしまっていて、吸いすぎて調子が悪い。
今後の目標の一つに禁煙を掲げよう。
できる出来ないの問題ではなく、今のペースで吸っていたら脳梗塞を起こすレベルで吸っているんじゃないかと思う。
そして汚部屋。
長い年月をかけて積もり積もった断層が、そろそろヤバいレベルなので、何とかしないと思っているのだが、僕は片づけられない男である。
もう手に負えないのでどうしようかと思うのだが、仕方ないから少しづつでも片づけていくしかない。
基本、食っては寝、食っては寝であるために、まだ働いているときに買った少し大きめのズボンのウエスト周りが、いつの間にかぴったりになっていた。
以前はその一つ下のサイズでも余裕があったはずなのに、ぴったりになってしまった。
運動不足も深刻で、以前は肉体労働系であったため、一日中体を動かしていたのであったが、今は床擦れが出来るんじゃないかと言うほど横たわっている時間の方が長い。
このままでは退職金が入ったところで入院費に消えてしまいそうである。
少し健康のために歩こうかと考える。
TwitterとかInstagramやFacebookもよくやっているのだけれど、倒産した会社の社長とInstagramやFacebookではフレンズなので、僕が何かを投稿した場合にタイムラインでそれを社長は見ることになる。
普通はこの場合にブロックしたりするのだろうか?
とても狭い業界なので、今のところは自分はその同じ業種で働こうとはほとんど思っていないのだけれど、もし万が一に手に職も無い自分が、ほかの業種の仕事を見つけられなかった場合、またこの業種にカンバックするしかなくなったとして、その時にまた社長もいまさらほかで働けるとも思えないので、次に会う特は取引先の人間として合うかもしれないので、ブロックしずらいというのがあるのだ。
「おまえ、俺をブロックしてるだろ?」
などと聞かれたら、とても気まずい気分になる。
とりあえず、別垢を作って元のアカウントは放置することにする。
暇な時間の潰し方として、ずっとスマホをいじっているわけなのだけれど、なんでか理由は忘れたのだけれど、Googleで「チャット」と言う言葉を検索した。
スマホのゲームでボイスチャットの機能がついている事も多く、わが家がネットにやってきたころの、個人掲示板みたいなルームに入って、文字を入力するシステムではないんだろうなと思ったら、昔と同じチャット掲示板が出てきたのである。
初めてやったころは、文字入力が追い付かなくて、会話どころの話じゃなかったのだけれど、自分も少しは入力が早くなり、懐かしさを感じつつルームを作ってみた。
ルームのお題は「失業中」だった。
基本的には穏やかにチャットは進んでいった。
ついこないだまで失業手当を貰っていたという方や、自分とは違う個人都合で失業中の人などいろんな人が入ってきてなかなかいい話を聞かせてもらっていたのだけれど、五人目に入ってきた「自殺コンサルタント」などと言ういかにもなハンドルネームの人が入ってきて僕にこうレスしたのである。
「あなたにお似合いの自殺の仕方は首吊りです」
あぁ、こういう奴が闇に引きずり込むのかと思っていたら、ほかの参加者の方がシークレットチャット機能を使い、僕だけにレスが見える状態で語りかけてきた。
「あれ、ヤバい奴なのよ。ルームを作った権限で追い出せる?」
何も考えずにルームを作ってみたので、参加者の中の一人を追放する機能など知らなかったのでそのまま送信。
送って通常の画面に戻ったら「@自殺コンサルタント」さんは退出していた。
よくネットで知り合って事件に巻き込まれたなどと言うニュースがあるけれど、実際そんな事件に巻き込まれるようなサイトってどこにあるのかと思っていたのだけれど、きっとこういう場所なんだろうと思ったのである。
きょうくん
じぶんのことはじぶんできめる




