操り人形
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
どうにも私は人間というものが理解できなかった。昔から……そう物心つく時から私は異常だった。
「バケモノ!なんで貴方のような子が産まれたの!」
親からの暴力。怪我一つしない。何も信用しなくなった。
「お前は人間じゃない!」
同級生からのいじめ。誰かへ頼る事を忘れた
赤い瞳。白すぎる肌。誰よりも綺麗な顔。
人間から生まれた吸血鬼。
「なんの為に生きているのかしら。」
心がない私は感情がない。
生きていても死んでるも同然。
人間を理解出来ない。感情をもつそれらが。
幸せを感じるそれらが。
(幸せ……寂しい……)
羨ましいとも悲しいとも思わない。
(皆と笑いたい。)
だって私は吸血鬼で、人間ではないから。
(なんで私は人間ではないの?)
なれないものを願って何になるの。
(何も感じないの)
人間はないものねだりが好き。
(これは感情なの?)
私は私でいい。一人で生きていく。
(誰か……!!)
ただ奪うのは血液。生きるため。
それを異常とするのは当たり前かもしれない
ただ教えて?何故人間は人間どおしで幸せを奪い合うの……?
目の前の怯えた男に問う。
「人間って何……生きてる意味って何…答えなければ死ね。」
「ひっ……こっ…殺さないでくれっ」
汗を流し涙を流し懇願する男。
「質問に答えて」
さっきまでのが演技だったかのように一瞬で無になった男。
「……地球を守るために生まれ、知能を持ち、子孫を作る生き物……かな。」
男は妖艶な笑みを浮かべた。
「お嬢さんは……吸血鬼だね。」
何だこの人間…
「何者なの?」
「通りすがりの男だよ…君の言う”人間”さ。」
「なら、殺してもいいのね」
こいつも誰かの幸せを奪うような屑の人間だ。
こんな男一人すぐ殺せるだろ。
こいつはダメだ。生かしてはダメだ。殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ……!
気づけば目の前の男の首を絞めていた。
が、苦しむ様子を見せずしゃべり続ける。
「あぁ…人間だからね。僕は、大谷一。これで人間ではなく、大谷一っていう生き物なのだよ。」
人間は死ねばいい……
「君の名前は?」
私は手の力を強めた。
「……冬霧 蕾」
「そうかい。君は吸血鬼ではなく、冬霧蕾なのだよ。」
「種族の話をしているのではないのだけれど…」
「命はね。それぞれ違うんだ。経験してきたことも、考え方も。命が宿ったものがなんだろうと、関係ないんだよ。命は命。」
「何となくわかったわ。」
「それならいいのだよ。」
暗い路地に男が溶け込んでゆく。
私は…冬霧蕾……。
人間……?吸血鬼……。
何が違うのだろう。ただ生きている。
それだけの存在。
忙しく頑張る必要はあるのだろうか。
生きてる価値だなんてなくて、子孫作って子育てしたら終わり。
その後に、生きてるかどうか。
分からなくなる。私はなんのために生きてるのかしら。
子孫を残せる訳では無い。死ねる訳でもない。
私は…どうして生きてるの……
誰かの為に何か出来る……?
でも人間はそれを踏みにじるじゃない…
人間の定義ってなんですか。
皮膚の下の肉が人間ですか。
体を動かす筋肉ですか。
脳ですか。
意思ですか。
意思も感情もない人間は人間ではないのかしら。
人はただの駒。
単純な心。
簡単に操って欲しい言葉をあげるの。
そうしたら、簡単に救える命。
人を理解するって簡単。
人の心の中に入り込むって……。
感情も意思もない。
そんな私に操られるだなんて、滑稽よね……
操られてるのはきっと私のほうね。
あの男に会ってから、私はきっと自分にある感情に気づいてしまったんだ。
「愛されたかった。」
下を見ると床が濡れていた。
それを涙だと気づくには時間がかかった。
初めて泣いた。
……誰か殺して。
私を愛して!
死ねない私はループする。
大谷一。彼は神様。この世界の。
男は笑う
「君が壊れる様は何よりも美しいよ……」
ありがとうございました。お久しぶりです。
連載小説私向いてませせんでした……
書けなくなってます…。
また暗い話になりましたが、どうでしたか?
アドバイスや感想などくださったら有難いです!