目覚めた…?
「ん…」
目が覚めた。
芋虫に食べられて視界が暗転したところまで覚えている。しかし
「あれ?ここ、どこ?」
目が覚めたのだがどうやら僕は薄暗い洞窟の中にいるらしかった。洞窟といっても少しはなれたところから光が差し込んでいることからほんの小さな洞穴であることがわかる。
「え、これまだ夢…なのか」
夢中夢または二重夢というやつだろうか。
「勘弁してよ。なにこれ?え、そんな疲れてたのかな?自分ではメンタル強いと思ってたんだけど気づかないうちに病んでたのか…?」
夢とは自分の精神状態によってその見方が変わると聞いているけど明晰夢に加えて夢中夢なんてどういう精神状態なんだろうか。とりあえず、まずい気がする。仰向けで、手足を放り出し考え込む。
「今度こそ目が覚めたらまずググらないと」
しかし、どうしたものか。夢から覚めるには、例えば落ちたり、撃たれたり「あ、死んだ」って状況で目覚めることが多い。
「でもさっき芋虫に食べられたはずなのに、これだもんなー。また食べられるのはごめんだし、そもそも夢の中でも死ぬのはリアルなだけにショックが大きいしやだなぁ…」
んー、と今度は胡座をかき、頭を掻きながら思案する。要は意識を失いさえすれば夢から覚めるはず。
「外…は放っておいて、うん。二度寝しよう!」
ならば余計なことはせず、もう一度眠ってしまえばいい!そう結論を出し、僕は目を瞑った。眠気はあまり感じていなかったが無理矢理眠ろうとする。洞穴の中はひんやりと心地が良く、穏やかな風の音と草木のざわめきが微かに聞こえる。そうしてしばらくして漸く意識を手放す。直前、僅かに残る意識でなにか物音が聞こえた気がしたが、そのまま微睡みに沈んだ。