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blue note  作者: ゆーのー
1/4

明晰夢

初投稿です。

よろしくお願いします。

気がつくとじりじりと照りつける日差しの下。

辺りを見渡せば一面砂漠の中、僕は立っていた。

…明晰夢というやつだろうか。

いつのまに眠ったんだっけ。

最後の記憶は会社で1人残業していたところだけど、居眠りしてしまっているのだろうか。仕事、片付いたんだったかな。そんなことを考えつつその場に立ち尽くす。早く目覚めないといけない。そう思っているのだけれど、人生で初めての明晰夢だ。なんだかもったいない気がしないでもない。それに億劫な仕事に立ち向かうモチベーションもない。となれば、この機会に目覚めるまでこの夢を満喫しよう。そう気持ちを切り替えたところで、ハッとした。


「あっつい!!」


え、明晰夢って暑さなんかも再現されるの?というか砂漠だし、1人だし、え、詰んでない?熱中症でオチて目覚めるのかな。えー。

せっかくの夢の世界なのに内容がなんともしょうもない。どうせならSFチックな夢の中で自由に動きたかった。こんな砂と太陽と僕しかない世界なんて楽しみようがない。

はぁ〜。と落胆しつつ、とりあえずまっすぐ歩いてみることにした。歩きながら、眠る前に取り掛かってるはずの業務の段取りを考えよう。はぁ〜〜。とまた、ため息をついた。


どれくらい歩いただろうか。

あれから歩けど歩けど景色は一向に変わらず、砂のみが視界を占領する。もうギブアップしていいかな。意識も朦朧としてきた。なんてつまらない、過酷な夢。どうせなら南国のリゾートなんかでリフレッシュできるような内容が良かった。こんな苦行を眠ってる間までやらせられるなんて。ツイてないことこの上ない。もういいや。早く目覚めてくれ。

現実逃避はここまでだ、僕。

そう思ったとき、前方の、十数メートル先の砂丘からなにかが音を立てて出てきた。

この世界で初めて現れた「それ」を認識すると、思わず乾いた笑いと悪態をこぼした。


「あはは。このタイミングでクリーチャーか。食べられて目覚めるタイプのやつかー。まじか。最悪だなー。最も悪い。うん、最悪。」


暑さで朦朧としているとはいえ、意識のある状態で巨大な芋虫みたいな奴に食べられる。とことん、この世界は僕に嫌がらせをしたいみたいだ。

その芋虫みたいなクリーチャーは、鋭い歯が無数に見える口をパクパクさせながらズルズルとこちらに向かって来る。わぁ、気持ち悪い。非常にグロテスクなその造形に恐怖を抱くでもなく、諦めて達観した僕は他人事のようにそいつが近寄って来るのを待っていた。あと数メートルもないだろうか。


起きたらもう仕事放って帰ろう。

こんな気分でやる気も湧かないし、即帰宅する。

うん、期日明日の仕事だけどなんとかなるはず。

頑張れ、明日の僕!

負けるな、明日の僕!

雲ひとつない空に向かって未来の自分に敬礼をすると少し間をおいて、目の前が真っ暗になった。



明晰夢は未だ見たことありません。

こんな感じなら、いい…くないですね。

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