3話 彼女
「はあ、つーかこういう事」
「あんましたことない」
「……あ、なんつーか変な感じ」
午後の昼下がり近くの喫茶店に予約をして入る。
その後はパフェを頼んだ。
「つかさ、最近はいろんな人がいるんですか」
その子の笑顔はとても眩しかった。
だけどどこかに影が差すようでもあった。
その子は持っていたパフェの生クリーム一つ取る。
と、それがするりと手からこぼれ落ちる。
「あーこぼれてる」
まるで他人事の様に呟いた。
「もうこんなとこで何やってんだよ」
「じゃあ行くよ」
そう言うと彼女は俺の首に両手をかけて思いっきり力を入れる。
指と指の間に俺の首の皮が 入ってきて食い込んでいく。
「ハアハア」
何故か俺が息が切れる。
「気持ち悪い」
「今更息すんな」
「意外と力使うから乗るよ」
「よいしょ」
馬乗りになってより力を入れやすくなり、彼女の肌が直に当たる。
「いけるかな」
「行くよ」
〜〜〜〜
「では是非あなたの意見をお聞かせ願いたいわね」
「どこの国の人ですか?」
会社。
女先輩のいつものイビりが始まる。
「先輩あいつが来てませんよ」
「何あの男またサボったの会社?」
いつもの女同士のクソみたいな会話。
「ラインとか送っても返事ありませんよ」
「会社のグループラインにもう何十通も送ってるんですけど」
「ちょっと言い過ぎたかもねなんつって」
「もう」
「なんとかなるっしょ」
そうだといいんですけどね」
気楽な女先輩。
面倒くさそうな女後輩。
帰り。
「あれって」
「あいつなんじゃないですかね」
昼休み。
休憩室の窓から外を覗くと男が金髪の女と歩いていた。
「あいつ」
「会社サボって何やってんだ」
「まあいいわ」
「黙っておきましょう」
「今度はたくさんいびってやればいいんだから」
「そうですけど」
「なんか様子おかしくないですか」
「そうかな」
~~~~~~~~~
「私はお前を殺す」
「それだけは覚えていろ」
「ありがとう」
「その上で言っとくけど」
「ちゃんと生きなさい」
目の前の彼女と母親から言われた言葉が浮かぶ。
空想と現実が曖昧になる。
「ちょっとジュース買ってくる」
そう言うと彼女は急に部屋を出ていった。
「……」
「あ」
「あ」
アパートを出る。
目の前に傘をさした女がたっている。
スーツを着て紙袋を持っている。
あいつより年上かも。
「あの」




