2話 公園
「来るぞ」
「ほらきよった」
「あははあ」
「クスクス」
「まったくあの男は」
「恥ずかしい……//」
いつもの 職場でのいびり。
女の先輩からのめんどくさいいじり。
「私は何でも知っている」
「そのカバンの中身も」
「そんなに食うのか?」
「家族の分です」
「ふーんわざわざ買うんだ」
適当な嘘をつく。
「あと他にも色々」
「あら誰と話していたの」
「いや知らない奴だよ」
俺は別にそう言った。
金髪ショートの女先輩。
会社の上司でいつもギャーギャーと言ってくる。
ただのめんどくさいあとしか思えなかった。
それもこれももうどうでもよかった。
だって今日。
まあいっか最後ぐらい。使っていいじゃない。
彼女ときたお店で一番高いパフェを頼んだ。
「はい」
「ありがとう」
俺は慣れないことをしている。
目の前でパフェを口まで持って行って、
一口食べる。
妙に甘くて美味しかった。
その後彼女も同じスプーンのパフェを食べた。そして近くの公園まで二人で歩いた。
どうする映画でも見に行こうか?」
「そんな気分じゃねえ」
「じゃあエッチでもする?」
「ここで」
「外でするのか何言ってんだお前」
「じゃあ何もしないずっとここにいよ?」
「そうだな」
正直それが一番落ち着くかもしれない。
エッチって言っても先輩に連れられて、そういうお店にはるか昔に行ったぐらい。
だったかもしれない。ただただ暗くて痛くて怖くて。
いい思い出なんか何一つないって感じだった。
こいつは俺がこんなことを依頼したの、一から十までわかってんだろうか?
俺はこの後彼女に本当に殺してもらえるんだろうか。
ここで死ぬんならいっそのこと。
何してもどうでもいいんじゃねえのかって感じが浮かんでしまった。
「いいよ」
「何しても」
「まあその後殺すんだけどねははは」
彼女が笑っている。 その笑顔が。
とても、眩しすぎた。
そして俺は試しに彼女の首を締めた。
おもいっきり。
「キミってこういうプレイが好きなの」
「なんとなくやってみたかっただけ」
「ふふそうなんだ」
「でも案外こういうのが好きって人も多いんだよ」
「そうなのか」
知らなかった。
「キャハハ」
「……最後に知れてよかったね童貞くん」
「余計なお世話だ」
俺は彼女の首が引きちぎれるくらいの力で思いっきり。
両手で握りつぶすぐらいの気持ちでいった。
「カハッ」
彼女が唾を吐き出す。
なぜか心の中で少しだけスッキリした気分になった。
こういうのが俺の好きだったのかもしれない
「じゃあ行こっか」
「キミの部屋へ」
今日俺の部屋で俺の人生が終わる。
長くてめんどくさい人生だったなぁと思う。
そう、ただただ思ってしまった。
「また来てくれるよね?」
その時、
誰かの声が俺の頭の中にひびいた。
でも俺はその声をいまだ思い出せずにいた。




