第一話
文成学園。
二年前から開校した中高一貫の学園。
まだ新しく、他の高校と比べてかなり規模が大きい為、入学希望者も定員オーバー状態らしい。
俺、水流 涼は学力、体力、精神力など全てが平均以下にも関わらず、余裕で合格してしまった。
入学する生徒は家から近いとか校内がキレイとか、入学する理由が色々あるらしい。
俺も家がかなり近い。しかし、俺にはもう一つ別の理由がある。
この学園には誰が作ったのか、『空想イメージシステム-Fantasy Image System-』、通称F.I.Sシステムというなんのひねりもない名前のシステムが存在する。
俺が知っている情報は一つ。そのシステムが戦闘プログラムであるということだけだが、名前はどうあれ、とても興味をそそられたのだ。
文成学園は中高一貫なので今年から中学に入学する俺の妹、水流 鉋にもそのことを話した。
「え!?なにそれ!?ヤバいシステム!?」
などと言っていたが、俺が聞いた話によれば、どうやら生徒たちの身体能力向上の一部だとか。
まぁ、街で女子高生が話していたのを小耳に聞いただけなので確証はないが。
そして、今日は入学式。
家から十五分程度のところにあるので、鉋と一緒に家を出てゆっくりと向かうことにした。
学園の門の前まで来ると門の前で写真撮影や話をしている人たちが目立っていた。
「すごい人だね。お兄ちゃん」
「そりゃ、入学式だしな」
当然だろう。高校生は新入生だけでも千人を超える。
なので、学校の敷地はかなり広い。
「とりあえず、体育館に向かうか」
「なんで?」
おっと、こいつ完全に忘れてるな。
「中学と高校、一緒に入学式だろ」
「あ、そっか」
ちょっと不安な妹であるが、妹だからなのか可愛いと思ってしまう。
というか可愛い。可愛いし、カワイイし、かわいいし、かわゆい。
体育館に入ると中学と高校に分かれ大量のパイプ椅子が並べられていて半分くらいの生徒が自分の座席に座っている。
自分の座席へ向かうと、背後に気配を感じた。
鉋だ。
「おい」
「?」
こいつまた忘れてるのか。
「なんでこっち来るんだよ」
「ざ、自分の座席が分からないのです」
「ここ」
鉋は俺が壁にはられてあった座席表で場所を教えると納得した様子で自分の座席へと向かって行った。
学園長の挨拶やら、在校生の挨拶やら、担任の紹介やらで入学式は終わり、その日は解散となった。
今日はF.I.S.の情報は得ることが出来なかったが、これで俺もいよいよ高校生ということだ。
第1話〜完〜