第五話 クリスとの特訓
こんばんは山本羽布美です。これからも文章力と表現力を上げていくのでよろしくお願いします。
「どうしたんだよ、いきなり。」
湊人にいきなり弟子入りさててくれと言われて困惑するクリス。
「リンダに聞いたクリスはナイフと剣の扱いに長けているんだろ。だから俺も少しでもみんなの力になりたくて、だからお願い弟子入りさせてくれ。」
頭を下げる湊人。クリスは頭を下げた湊人に焦って言う。
「あ、頭を上げてくれよ。わかったから、弟子入りを認めよう。」
クリスの発言に湊人の表情がパァと晴れ上がる。
「本当か!ありがとう!」
「でもその前にどういう武器がミナトにあっているのかを確かめる必要がある。一回雑貨屋に戻ろうか。」
「おう!」
武器を選びに雑貨屋に戻るとイオナが出迎えてくれた。
「どうした?戻ってきて弟子入りに失敗したとか?」
イオナの言葉に苦笑する湊人。
「違うよ。俺にどんな武器があうのか選びに来たんだ。」
「そうか...じゃあこっちに来な。」
イオナに案内されて以前とは違う場所に案内される。
「ここだよ。ミナトはどんな武器を扱ってみたい?」
「なんだろうな...やっぱり剣とかかな」
「剣か...」
そういうとイオナは剣が置いてあるところから二、三本持ってくる。
「じゃあこんなのはどうだい?」
イオナが持ってきた剣は全て種類が違った。
「この剣はショートソードだ。まあ、一般的な剣だな。それで、こっちが短剣、別名ダガーだな。最後がレイピアだこれは普通の剣と違って突いて戦うんだ。まあ最初に使うんだったらショートソードがおすすめかな。」
湊人は最初短剣にしようと思っていたがイオナに最初に扱うのだったらショートソードがいいと言われどっちにするか悩んでいると、クリスが声をかける。
「ミナトこういうのはね直感で選んだほうがいいよ、それで扱ってみてもし選んだのが合わなかったらまた選べばいいそれだけなんだよ。」
クリスの言葉を聞いて湊人はダガーを指さした。
「俺これにする。この武器が今一番いいと思った。」
「そうか、ならもって行きな。」
イオナの言葉を聞いて驚く湊人。
「え!いいの貰っちゃって?」
「いいよ。ミナトには店手伝ってもらったしこれからも手伝ってもらうからね。」
「うん!ありがとうイオナ!」
「いいよ礼なんて。」
「後これも必要だろう、ほら。」
イオナが湊人に渡したのは木製の短剣だった。
「ありがとうイオナ!」
「じゃあ、行こうかミナト。」
「うん。」
クリスと湊人が外へ向かって走りり出す。その後ろ姿を見てイオナは自分に本物の息子ができたように感じていた。
「ミナトが使うダガーは他の剣と比べてリーチが短い。だから相手の懐に入る必要がある。それには早さが必要なんだ。だから盾は持てない。身を守るときは短剣で受け流す必要がある。まあ、つまり言いたいことは隙をつくらないようにしろっていうことだよ。まあこれは全部師匠の受け売りなんだけどね。
「うん。大体わかった。隙を作らないようにして相手の懐に飛び込んで一撃って形ね。」
「そういうこと。まあ最初はそのナイフで僕と稽古しよう。最初は我流でいいよ本当に重要なところは教えていくから。」
「わかった。」
湊人は木製のナイフを構える。湊人はクリスに向かって突進する形で前からナイフで突こうとするがそれをクリスが容易く弾く。カンッと木と木がぶつかる音が響く。湊人はそのまま弾かれたナイフを斜め右下に振り下ろすが、今度はナイフ同士をこすり合わせる形で受け流される。湊人は一旦距離を置こうとするがクリスが湊人の脇腹を殴りその場に倒れてしまう。
「ゴホッ...。どうすればいいんだよ全く歯が立たない。」
「最初に正面から突っ込んできたのはいい策とは言えないな。僕は右手に短剣を持っていた。なら左から攻めるとか、少しでも自分が有利になるようにしなきゃ。でも突きと斬り払いは良かったと思うよ。でも探検はリーチが短いって言ったよねその分相手の間合いに入って攻撃するって。だから武器だけじゃなくて自分の体を使った攻撃もできるんだ。そこのところも考えながら攻撃すればいいと思うよ。」
「わかりました。もう一度お願いします。」
それから湊人はクリスに何回も挑んだがことごとく倒された。
「はぁはぁ...。」
「今日はこれくらいにしようか。もうすぐ陽も落ちる。」
「あと一回だけお願いします。」
「一回だけだよ。」
クリスは断ろうとしたが湊人の真剣な顔を見たとき断ることができなかった。
湊人は腰を落とし重心を低くする。最初と同じようにまっすぐ突っ込むが、クリスの前で即座に左側に移動する。湊人は足払いをしようとするがクリスがナイフでついてくる姿勢をとった瞬間にナイフで斬りかかる。それをナイフで防がれたので、廻し蹴りを仕掛けるがそれは避けられる。そのまま均衡状態が続くかに思われたがすぐに決着は着いた。湊人が左側に回ってきたところをクリスが湊人のナイフを弾き、そのまま足払いをして首元にナイフを当てた。
「これで終わりだね。でも最初なんかとは比べ物にならないくらい動きが良くなったよ。この調子で続けていこう。」
「ありがとうございました。」
稽古も終わり、店に帰るとイオナが湊人たちの近寄り。
「随分と遅かったね。ほら水浴びでもしてきな。」
そう言うと湊人たちにタオルを渡す。
「行こうかミナト。」
「あ、うん。」
クリスの後をついていくと店の裏にある川へと着く。水浴びをしているとクリスが湊人に話しかける。
「お疲れ湊人。」
「うん。今日は本当にありがとう。」
「いやいや、ミナトの上達も早かったから僕の稽古にもなったよ。だから僕からもありがとうだね。」
「ははは、そう言ってもらえるとありがたいよ。」
「でも最後の方は夢中になって結構強く殴ってしまった。大丈夫だった?」
そう言われて湊人は大丈夫と言って腕を回すが、
「痛っ」
「大丈夫じゃないね。明日治癒魔法士のスナンさんのところに行こうか。ミナトの傷を治してくれたのもスナンさんなんだよ。」
「うん。いい機会だし、お礼も言いたい。」
「じゃあ、決定だね。そろそろ上がろうか。」
「そうだな。」
そう言うと二人共立ち上がる。
水浴びを終え店に帰るとイオナが夕食の準備を整えていた。
「クリスも食べていきな。」
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて。」
三人で食卓につく。湊人は家族で飯を食べていた時のことを思い出していた。やはりここはなぜか懐かしく感じそして優しい場所だと。
「イオナの料理は久しぶりに食べたな。やっぱり美味しいよ。」
「そう言ってもらえると作った甲斐があるよ。あ、ミナトは後でちょと手伝ってね。」
「わかった。」
三人で談笑しなて食事を終える。
「今日はありがとな。」
「明日からも稽古するでしょ?」
「もちろん。じゃあ、また明日。」
「ああ、また。」
そう言ってクリスを見送る。すると店の中からイオナが湊人に声をかける。
「ミナトーちょっと来てくれー。」
「はーい。」
湊人は明日こそクリスに一発当てようと思いイオナのもとに向かった。
クリスの特訓から二週間が経過した。一週間が過ぎたあたりから湊人は激的に飛躍していった。クリスの体をナイフが掠るようになり体術も鋭さを増していった。その日の稽古も終わり、店に帰りイオナと夕食を食べていると湊人はイオナからあることを頼まれる。
「クリスとの稽古も順調みたいだね。」
「うん。あとちょっとでクリスのことを捉えられそうなんだけどな。」
「そうか...。なあミナトちょと頼みがあるんだ。」
「店のこと?なんでも行ってよ。」
「いや今回は違うんだ。」
「じゃあ何?」
「ちょっとおつかいに行ってもらいたいんだ。」
「おつかい?それくらいならいいけど。何処に行けばいいの?」
「王都だ。でもミナトはこの村から外に行ったことがないだろう?」
「王都!どんなところなの?」
「まあ、文字どうり王様がいるところなんだが、しかしさっきも言ったとおり王都に行くには村を出て森を通る必要がある。ミナトは森で魔物に襲われたんだろう?だから無理をして行かなくてもいい。それにここから王都までは二日かかる。だから行くか行かないかは自分で決めて欲しい。ここのところクリスと特訓していたからいい機会にとは思ったんだが怪我ましてや死んでは本末転倒だだから自分で判断してほしい。」
湊人は悩むことなく答えた。
「俺行くよ。王都に、これまで稽古してきたのだってこういう時のためだしイオナの力になれるならなんでもするよ。」
「そうか、ありがとう。じゃあ、この紙に書いてあるものを買ってきてくれ。資金はこれだけある。二週間以内に買ってきてくれればいいよ。あっちで少し観光でもしてきなさい。」
「いいの!ありがとうイオナ!」
「明日は朝早く出るんだ早く寝ときな。あ、あとねリエナもそのおつかいに同行するからね。」
「リエナも来るの!」
「ああ、ミナトだけじゃ王都への道がわからないだろう。」
「うん。わかった!じゃあ、おやすみ。」
イオナと会話を終わらせ、湊人は寝床につこうとするが、ワクワクしてしまいその日の夜は夜ふかしをしていた。
朝になると朝食の準備を終えたイオナが湊人を起こそうとするがなかなか起きない。いつもならすぐに起きるのだが、夜ふかしをしていたため起きなかった。イオナはもうちょっと寝かせておこうかと思ったが首を横に振り湊人を起こす。
「ミナト。朝だよ起きな!」
「う...うん。おはようイオナ。」
「おはようミナト。さては昨日寝れなかったね。」
「あはは、ワクワクして寝れなかった。」
「今日からちょっとの間だけど王都に行くんだ王都へ行く道は危険だ。それに遠い。身を引き締めるんだよ。」
「わかった。」
「じゃあ、顔洗ってきなさい。」
湊人が顔を洗い終わり朝食を食べ終わると
「ミナトこれをあんたにやる。」
と言って一本の短剣を出す。その短剣の形は歪だった
「これはソードブレイカーという短剣だ。ここの凸凹の部分に相手の剣をかませて折ったり、叩き落として使う武器だ。何かあったら使いな。」
「ありがとう!大切にする。」
「ああ、村の門まで一緒に行こうか。」
「うん!」
「忘れ物はない?」
「大丈夫。なんも忘れてないよ。」
「そうかい。」
その会話はまるで親子のそれだった。
村の門には馬車とリンダが待っていた。
「それじゃあミナトを頼んだよ。」
「はい。頼まれました。」
「じゃあ、行こうか。」
「そうだね。」
「イオナ行ってきます!」
「いってらしゃいミナト。リエナも気をつけて。」
そう言うとリエナが馬を走らせる。
村が遠ざかっていく。王都到着まであと二日。