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真の勇者の定理とは  作者: 山本羽布実
第一章 世界の洗礼
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プロローグ

どうもはじめまして山本羽布美と申します。今回初めて小説のようなものを書かせていただきましたが、文章を書くのは難しいですね。これからも文章力をアップさせていくつもりですのでよろしくお願いします。

「お父さん!これ読んで!」


 小さな少年がお父さんと、呼んだ男に差し出したのは、ある絵本だった。


「またそれか。湊人はその本が好きだな」


 彼は、はにかみながら差し出された本を取り、物語を読み始める。内容は一人の勇者が、悪い魔王を倒す話である。何度も読んだはずなのに少年は、物語が進んでいくに連れて、その顔を歪めていく。そしてクライマックス。少年は内容が気になるものの、ウトウトし始め最後まで物語を聞けずに、寝てしまった。


「まだこの話は、お前には早いのかもしれないな」


 そう言って、彼がページをめくると魔王に破れた勇者の姿が描かれていた。

 

              **********


 ジリジリと音を響かせる目覚まし時計に少年は起こされた。昔の夢を見たのは、何日ぶりだろうか。と少年は夢のことを思い出し、昔父親に読み聞かせてもらっていた本を手に取る。

 しかし、夢の絵本とは内容が違い、最後のページに書かれていたのは勇者が魔王を倒している絵だった。本を元の位置に置き、少年は「よし!」と一言言うと、着替え始める。年の終わりである今日は前から掃除をすると決めていたのだ。

 

 その後せっせと掃除をしていく中で、少年は机の奥から封筒を見つけた。一度掃除を中断し、封筒の中身を確認すると、一通の手紙と鍵が入っていた。手紙の送り主はどうやら少年の父親のようだった。

 その手紙を広げ、読み進むにつれて少年の目からは涙が流れていた。読み終える頃には、涙で手紙が濡れ所々文字が霞み読めなくなっている部分もあった。

 そして、少年は同封されていた鍵を手に取ると、徐に立ち上がり父親が昔使用していた書斎へと向かった。過去一度も出入りしたことがない部屋に少年は少し気詰まりを覚えるが、ガチャリ。と鍵を開け中に入る。

 

 書斎。というだけあって、中にはかなりの数の本が収納されていた。しかしどれも日本語表記ではなく外国語、それも英語ではないどことも知れない文字で書いてある本が大半であった。

 そうして本棚を見ていくうちに、ふと目に入った本があった。それは何度も父親に読み聞かせてもらっていたあの本だ。文字は理解できなくても、内容は理解できる。少年はそれを手に取り、ページをめくっていく。すると最後のページに描かれていたのは、少年が知っている結末ではなく、勇者が魔王に敗れている絵だった。


 夢で見た結末が描かれた本。それがどうして父親の書斎にあるのか。少年はそれが不思議でたまらなかった。もしかしたら、俺はこの本を昔読んだことがあるのではないか?そう考えるが、現状というよりも、母国語ではない文字をそれも小さな子供が読むには、無理がある。考えれば、考えるほどそこにある本に関しての謎は深まるばかりだった。

 少年は少し気持ち悪いが考えるのをやめ、その本を本棚に戻した。そして部屋の奥にある、布のかかった大きな物の前に立ち、布を取るとそれは鏡だった。

 写っているのは、眼帯をした黒髪の少年だった。身長は百七十ギリギリありそうな小柄な体格の少年は、鏡に全身が写りこんでいた。


「鏡か……」


 少年がポツリと呟くと、突如として鏡が淡く光り始める。


「な、なにこれ!?」


 光が激しさを増し、少年を飲み込んでいく。


「へ……?」


 間抜けな声を出しながら、目を開いた少年が目にしたものは、先程までいた書斎ではなく、紛れもない森であった。

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