おまけ(朝食後)
「ニコラス。ダニエル君のこと、何か知ってるの?」
セーラはどうしても気になって、ダニエルが出かけた後、ニコラスに尋ねた。
「ん?」
ニコラスは怪訝そうに首をかしげる。
「ここの所、何か悩んでるみたいで・・・・・・」
「そうなんだぁ」
あっけらかんと答えるニコラスに、セーラは目を丸くする。
「気がついてないの?」
「んー。今日はお見合いだからね」
「え?」
今度はセーラがきょとんと首をかしげた。
「ダニエルはお見合いをしに行ったんだよ」
「知らなかった」
セーラはダニエルからそんなこと一言もきいてなかった。
「だろうね。オイラにも言わなかったからね。水くさいよね?」
「でも、あの様子は緊張っていうより・・・・・・」
セーラは、ダニエルの暗い表情を思い出す。
「イヤなんだよ、ダニエルは」
ニコラスはそう言うと視線を斜め下に落とした。
「まだ早い」
低い声で呟く。
「ニコラス・・・・・・」
「セーラ。オイラもお昼ご飯いらないから」
「え? まさか」
セーラはイヤな予感がした。
「無料飯食べに行かなきゃもったいないでしょ? セーラも来る?」
ニコラスは小首を傾げた。
「遠慮しとくわ」
なんとなく予想したセーラは首を横に振った。
「うん。その方がいいね」
ニコラスはセーラにニッコリと笑いかけたあと、軽く視線を落とし、独り言のように続ける。
「師匠のオイラに黙ってダニエルに見合いさせるなんて、ちょっと感じ悪いよね?」
口元とは裏腹に目が笑ってない。
かなりご機嫌斜めのようだ。
セーラは軽く肩をすくめた。




