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ドラゴンってかっこいいよね?

30分くらいしてやっと飽きたのかシルバーウルフを倒して合流する。


「もうっあの子は悪い子だったよ!」


ぷりぷりしながらのあずきの言葉に、脱力するムスカ・・・すみませんねぇ、ダメダメな幼馴染で。こういう奴なんですよ・・・はい。


「遅くなったけど、行こう」


三郎の促す声に、俺達はやっと黒い森(ブラックフォレスト)に踏み込んだ。が・・・


「あ・・・先に討伐されちゃってますね。」


ムスカの言葉に俺達は皆、あずきを見た。

どう考えても、あずきが遊んでいたからだろう。

あずきは『なに?』とでも言いたそうな顔で首を傾げてキョトンとしている。

30分もあればきっと先に倒せたのに・・・いつものことながら、殴りてぇ・・・



ん?・・・んん?てか、なんだあれ?討伐成功したPT・・・だよな?すっげー変な奴ら(PT)にしか見えないぞ?

6人フルPT(1PT最大6人で組める)で挑んでいるのはわかる。


キンキラキンの金属鎧を着た盾職(タンカー)

真っ赤なローブに赤い魔石を付けた杖を持ち、ローブの中身は某ロボットものアニメの少佐のような格好で、ご丁寧に仮面まで付けている攻撃魔法職(マジシャン)

白いローブだけど、中身はメ○ソ○ータムの蓋に書いてある女の子のような格好をしている回復魔法職(ヒーラー)

どこぞの軍服のような布装備の剣士(ナイト)

筋骨隆々なのはいいが裸に籠手・胸当て・腰巻・ブーツの最小限の防具しか付けていない戦士(ウォーリヤー)

杖でなく鞭を持ったボンテージで女王様的な状態異常魔法職(バッファー)


・・・まぁ、能力的なバランス『は』いいんじゃないか?レベルは知らんが、欠ける事なく討伐できてるんだし?そこそこのレベルだろうな・・・うん。


で、なんで戦士がレイドボスである土竜(小)の上に乗って、剣を握った手を掲げて『うぉー!!』なんて叫びながらポーズ決めちゃってんの?

某古代史というか、神話的な映画に感化されちゃってるんですか?

それとも、あずきみたいな『とある病』が発症しているのか?


・・・あー、うん。たった今、脳内俺会議で、俺は近付かない事が決定した。


そんなふうに考えながら変なPTから視線をそらし、目の前で起こっていることをなかったことにした。


俺が考えていたことなんて分かっている訳ではないだろうけど、三郎は特にそのシーンについて言葉では語らず、俺と同じように視線が不自然に外されている。

きっと、俺と同じように考えたんじゃないかと思う。


「あずき?どうするんだ?」


三郎が何もなかったかのようにあずきに声をかけているが、なんだかあずきの様子がおかしい?

いや、いつもおかしいけどさ。


「あずき?」


不審に思った三郎が再び声を掛けるとあずきは、討伐された土竜(小)などは見ていなくて、更に森の奥へと視線を向けていた。


「僕が・・・僕が倒すべきは、こんな小者じゃない!」


わけわからんことをほざいていきなり走り出した。いや、訳わからんのはいつものことだけど・・・


「はぁ?」


ムスカの呆れた声が響く。うん。普通に呆れるだろう。普通の人にはあずきの行動が、奇怪なものに見えると思うし。


「あーすまん。あいつがああなったら誰も止められない。

悪いが・・・小レイドは無理だったが、もう少し付き合ってくれないか?あれがあんなふうに脇目もふらず駆け出すってことは何かあるんだと思うし。そういう時に限ってレアクエに遭遇したりするんだよ。」


三郎がなんか説明してムスカも巻き込もうとしている・・・言ってることはまぁ合っているけど、多分・・・何かあったら押し付ける気マンマンなんだろうなぁ・・・


「いや、別に予定があるわけではないからいいですけど・・・」


ムスカが答えると三郎は『よしっ』と言わんばかりに頷き、あずきが走っていった方向に走り出す。

ぽかんと見ていたムスカが今度は俺を見てきたので、苦笑して頷いてやるとムスカも走り出した。

もちろん俺は一番後ろを走ってやる。

・・・尻はガードしなければね?(アダルト判定があるので、手にちゅーくらいまでしかできないようになっているが、予防だ)


走っているとなんだか嫌な予感が・・・

あぁ、あずきが止まってはいるが、あの目の輝き・・・その視線の先には、さっきの小レイドなんか比べ物にならんくらいのドラゴンが・・・


「エンシェント・・・なんでこんなところに」


三郎の呟きにムスカはパカッと口を開けてドラゴンを見る。

真っ白な身体に青い眼の優美な姿は、正しく最強という名にふさわしい貫禄を漂わせている。


・・・うん。普通だったら向かっていかないだろうよ・・・レベルがどう見たって違うし、全攻略組PTでもきっと討伐できないだろう・・・これはきっと、カンスト組が出てきたら敵に回るドラゴンだろう・・・

あ、俺たち死んだかも・・・


「でっかいドラゴンだァ~~~~!!!」


あ~、これこれ、そこのおバカ、突っ込んでいくのは止めてくんないかな?君が突っ込んだら、PT判定によって俺たちも攻撃されんだけど?


もちろん俺の心の声なんて届く訳もなく、本気武器のクレイモアを構えて突進して行ってる。


「あぁ!!!」


ムンクの雄叫びみたいになっているムスカ・・・ゴメン。心の中だけで謝っとくよ。

三郎は冷静に見えて多分テンパっている。

あずきに状態異常(デバフ)かけてどおするんだ!うごきは悪くなったが、既に止めに入れる距離じゃねぇし!!

あ~・・・エンシェントドラゴンもあずきに気付いた。

うん。俺オワタ・・・



ドラゴンはトテトテ走ってくる(動きが悪いからなんか変な走り方・・・)あずきを見るとつまらなさそうに、しっぽを動かしぺしっと弾いた。


「にゃぁぁぁぁ!!!!」


変な叫び声上げてあずきはこっちに向かって飛んできた。

要は、返品された?みたいだ。

三郎が一応ヒールかけているが、結構な距離を飛んできたあずきの手には既に武器はなく、怪我らしい怪我もなく、ウザイくらいの満面の笑み・・・

とっさに前に出てあずきをキャッチ


「キャ~ッチア~ンド~リリ~スッ!」


で、その勢いのまま俺は一回転して、あずきをドラゴンに投げた。


「え?」


ムスカがこちらを見ているが、知らん。あずきはドラゴンに遊んでもらえばいいと思います。


ドラゴンは飛んできたあずきを見て首を傾げ(そりゃぁ、傾げもするだろう飛ばした人間が飛んで戻って来りゃ・・・)またしっぽで弾く。


「うにゃ~~~~~~~~」


うん。あずきも楽しそうでヨカッタヨ。

俺も再びキャッチしてまた投げてを繰り返す。

何回かやっているとなんだかドラゴンの様子が変わった。


「なんだか、嬉しそうじゃね?」


そう、ムスカが言う通り、嬉々としたドラゴンと俺のキャッチボールが成立していた。

合いの手で三郎が暇なのか、アクビをしながら回復と防御率上昇魔法の混合魔法をかけつつ誰かと特定コール(ささやき)し、たまにムスカが炎だの水だの雷だのをあずきに纏わせて(三郎が変化が欲しいからと無理矢理やらせてた)、変化のあるあずき(ボール)をホントに嬉しそうに弾いてた。



数十分続けていたらドラゴンが満足したようで、あずきを弾くのを辞めた。


「きゅ~~~~~」


あずきも満足して寝ているようだ。


「HPは全快だけど、気絶してるぞ?」


うん?ムスカ、これは満足して寝てるんですよ?


とりあえずって感じで、俺たちも近くに行った・・・マジでけぇ・・・


ドラゴンは俺たち・・・あ~俺かぁ?を見てニヤっと笑った。多分、口の端が上がってたから笑ったんだと思う。

いきなり自分の腕をガリッと引っ掻いた。


『特別クエスト、エンシェントドラゴンの暇つぶしクリアしました。報酬は各鱗5枚ずつとなります。』


やっぱりレアクエかよ・・・ホントお前引きがいいな。ついジト目であずきを見てしまう。


「マジでレアクエ引いてるし・・・」


ムスカの呆れた声を完全無視して、三郎はドラゴンの引っかき傷にヒールかけてる。


あ~・・・やっぱりこれ、上げられるんだろうなぁ・・・

野良PT組めなくなったらどうすんだよ。


「とりあえず。お疲れでした?」


「・・・おつです。」


ここでムスカとは別れた。


俺の尻も無事だった。


てか、一回もムスカに背を(尻を)向けなかったぜ!


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