リア獣撲滅運動(一部で)
まぁ、ホームも手に入れたし・・・まぁ、後からGMからホームの説明来たんだけどな?何やら正式に実装される前に、一部ユーザーにテストに付き合ってもらおうってクエストだったらしい。
ちなみに、このクエ投下されたのって、俺たちが入る前にあった緊急メンテでちょこちょこ入れてったらしい。その数10・・・どんだけレアなんだよ。
まぁ、テストに付き合った分はこのままホームとして利用できるし、次に実装されるホームより大きいらしい。
特って言えば特だよな?
もう俺、深く考えないことにするよ・・・はぁ。
結局三人とも個室貰って、作業場作って、リビング作って・・・まだスペースあるからって風呂・トイレは必要ねぇだろうがーーーーー!!!
気を取り直して、俺達は家具を購入しようと(ホーム持ったら買えるようになるらしい)街まで来てぶらぶらしている。
「どうだ?」
「ん~~まだINしてないみたい~」
あずきの彼女にホームのこと報告しようとしてるみたいだけど、珍しくまだINしてないみたいだな。
彼女は元々三郎の親友なんだけどな、三郎と違って美人の才女だ。
「ん?コタ?何か言ったか?」
「いや?なにも」
危ねぇ・・・女って変なとこで感がいいよな?
「ふむ・・・つながらず・・・かぁ・・・」
「ねーねー『つながらず』って『ナイアガラ』と似てない?」
・・・ホント、首絞めていいか?
「似てない。共通点なんて5文字ってとこだけじゃないか。」
「え~似てるよぉ『つながらず』『ナイアガラ』ほら?似てるでしょ?」
一度、あずきの頭をかち割って覗いてみてぇよ・・・いや、見たくないな。どうせろくなもんは詰まってないだろう。
てか、三郎の顔に青筋が・・・やべぇ・・・あずき、後生だからこれ以上アホな会話はすんな!
「そういえば、この間テレビのCM見てて思ったんだけど、何考えてあの名前にしたのかなぁ?風邪薬なのに・・・」
「やだっあの人変~なんであんなガチムチなんだろ?キモイよね~」
あずきの言葉にかぶせるように聞こえてきた台詞。嘲る響きを声に乗せている。声の方に顔を向ける。
何かのアニメに感化されたのかよく解るような、カッコイイつもりだろう白い軽鎧を着た金髪碧眼の騎士と、それの腕に抱きつくようにひっついている金髪美人のような女。魔法使い系か?赤に近いピンクのスカートはミニすぎだし、胸もこぼれそうな布地の少ない服を着ている。フィールドに出て戦えるのか甚だ疑問になる装備だ・・・これ、一体何のエロゲ?
女は美人だけど、性格悪そうなのが顔に出ちゃってんな・・・アバターをどう美人に作ってもビッチはビッチらしい顔つきになるんだなぁ(しみじみ)
「こらっ、そんなこと言ってはいけないよ?ああいう人種もいなきゃ美男美女ばかりだと面白くないだろ?」
そこのイケメン・・・言外に俺たちをブサイク扱いしてんぞそれ・・・
「そうね。ごめんなさぁい。引き立て役いなきゃ、私たち美男美女のカップルも目立たなくなっちゃうかしら?」
てか、アバターなんぞどういう風にもいじれるから、お前たちも現実はイケてない部類だろ?
「君は美女の中でも更に際立ってるから、周りが美男美女でも目立ってしまうだろうな。」
「も~やだぁ。レイオスったらぁ。レイオスも一番かっこいいから目立っちゃう~」
きゃっ。なんてシナ作りながらいう金髪女・・・なんっつーか・・・バカップル?
自分たちがいちゃつく為に俺たちをダシにしたってとこか?
お前らの方がキモイだろ・・・
「でもぉ、レイオスがぁ目立っちゃったらぁ、他の女が群がっちゃうしぃあたしぃ振られたらどうしよぉ」
「君を振るなんてしないさ。どんなに美人が群がってきたとしても、君が一番綺麗だからね。」
あー・・・自分が振られるかもって頭にないんですね。どんだけ『俺、かっけー』って思ってんだ?コイツ・・・
金髪女とレイオスとやらは二人で自画自賛している。
ある意味お似合いのカップルなんだろうな・・・
取り合うのも面倒臭いから、適当な店にでも入ってやり過ごそうと三郎の腕を取るとこっちを見ていた金髪女はニヤニヤ笑いながら指差してきた。
「きっとあの二人、女の子に相手にされなくてお互い慰めてるんだよきっと。」
「だめだよ指さしちゃ。君が美人だからほら、見蕩れてるじゃないか。」
・・・はぁ?兄弟で女の子に相手にされないって慰めあうって終わってんだろ・・・てか、そんな金髪女好みじゃねぇし。
「その程度の美形、どこにでもいるだろ?」
うん。地味に三郎怒ってた様子。
あずきのウザさプラスこいつらのウザさイコール三郎の逆鱗に触れたってとこか。
まぁ、元々三郎は沸点低いしな。
「何言ってんのよ!あたしやレイオスのような美形はそんなに居ないんだから!」
ぶ、こいつ美形は他にもいるって認めちゃってんじゃん。ホントおバカ?
「まぁまぁ、落ち着いて?どうせ彼女も出来ないブ男のやっかみなんだろうからさ。君みたいな彼女を持っている俺が羨ましいんだよきっと」
こんなウザイカップル・・・爆発してくれませんかね?
俺がそんな風に考えていた時に三郎も同じように考えていたようだ。
「主は私に言いました。リア獣は爆発させよと」
・・・あれ?そんな言い方だっけか?まぁ、同意見だが。
「へぇ・・・俺とヤルの?俺強いよ?」
「あたしも魔法で応援する!」
レイオスと金髪女はやる気満々だ・・・確かに男の方(名前呼びが面倒になった)の装備はそこそこいいものだ。基本他人のレベルは見れないから、外見で色々と見抜かなきゃいけないんだが、俺たちの装備、布装備に見えてお前の軽鎧より防御力上だぞ?多分。
「へぇ、1対2かよ・・・よほど自信があるんだな。筋肉がそんだけあるんなら、パワーファイターってとこか?」
・・・をぃ。三郎さん?何してくれちゃってるんですか?あーた筋力0に近いでしょ・・・
1vs2って・・・神父が騎士と魔法使い相手にするってどうなの!?
いちゃいちゃ度に腹を立てたのかもしれんが、あーた、攻撃魔法も持ってなかったよね!?
相手がOK出したようでPV用フィールドが展開された。
三郎は十字架を構えて即デバフであるサイレントをかける。女は魔法が使えないことに怒って三郎を睨む。
いやな、今PV中じゃん?フィールド展開されたことでゴングは鳴ったようなもんだぞ?魔法の詠唱速度が物を言うだろうよ。
三郎はそのまま容赦なく、次々とでバフをかけていく。『物理防御力低下』『魔法防御力低下』『物理攻撃力低下』『速度低下』
「勘違いしているようだが、私はSTR初期値だ。ついでに言うなら神父なんで、攻撃魔法も持っとらんぞ?」
やっぱ初期値かよ。それでどうやってこいつら倒すんだ?・・・あ、アイテムか!
三郎がアイテムBOXから取り出したPOT見て気が付く。
・・・マジで爆破すんだな・・・少しばかり遠い目になったのはしょうがないだろ?まさか前々から制作依頼あった爆弾POT・・・こんなことに使うのか?・・・まぁ、間違ってないような間違ってるような?
そんな風に考えていると先ずは1本のPOTを投げた。
「!!」
サイレントかかってるからか、声のない叫びを上げている。
男に当たったPOTはドンっという音を立てて爆発した。
・・・うーん・・・音はスゴイが威力は女がひっくり返ったくらいか。No1は改良しなきゃダメか。
さっきから目を輝かせて見ているあずきは、キャッキャ言いながら跳ねている。嬉しそうだなお前・・・
三郎は観察している俺をちらりと見て2本目を投げた。
男はさっきのと一緒のものと判断したのか剣を構えてガードしようとしている。
ごっ!と風が逆巻く。もちろんただの風じゃぁないぞ?鎌鼬付きだ。
男と女を切り裂いて風は止む。
元々布の少ない衣装を着た女は動けないような状態だ。髪もぐちゃぐちゃで恥ずかしい感じ。まぁ、ちょっとばかりガン見しちゃったけど、男としてはしょうがないよな?たとえ俺を見る三郎の目付きが冷たくなっていてもさ・・・
気を取り直したのか三郎は3本目のPOTを投げた。
ボロボロの男はなんとか避けようとしてるけど、そのPOTは特に避けられないぞ?
ドゥ!ってスッゲー音がして空気が炎を纏って破裂する。
・・・うん。我ながらいいもん作った。・・・まぁ、No3のレベル1でこれだからな・・・十分実践で使えるか。三郎の護身用には十分だろ。
男は土埃と焦げ跡の付いた鎧のまま、爆風で頭から地面にのめり込んでいる。イケメンにはいい罰だよな。
女の方は・・・ぶっ!
漫画みたいなアフロヘアになってるよ。マジか!?それにしても・・・大股開きでひっくり返ってるのは・・・俺、慎みのない女は嫌いなんだよね。あ?関係ないか・・・
「サブちゃぁんかっこいいー!」
フィールドが消えたのを見てあずきは三郎に飛びついた。
三郎はあずきを抱きつかせたまま二人に向かってニヤリと笑う。
「我が主はリア獣を撲滅するように私に言いました。先ずは一組・・・ですな。」
PV嫌いな三郎がするっていうのも驚いたんだけど、まぁ、教会送りじゃなくて半殺しみたいだし、あずきとは違うか。
『リア獣撲滅クエ開始しました。残り1/100。期限は無期限となっています。』
・・・・
はぁ?
なにか?100回PVしろと?
とりあえず3人で・・てか、PTで100回ならなんとかなるかな?
あずきに任せよう・・・うん。