PVでヒャッハー・・・すんませんチョーシこきました。
え~・・・よく考えたら、残酷シーンがありました!
ので、ダメな人は飛ばすのですよ。
あずきと騎士(名前なんぞ知る気もない)は、早速PVの申し立てをしたようだ。
「きっちり殺してやる」
「ん~教会送り方式ね~賭け金はぁ?」
このゲームのPVは教会送りとHP半分と降参方式の3種類あり、あと賭け金をするかしないかを選べるんだが、賭け金は金額指定か、持ち金半分か、滅多にないけど持ち金全部を選ぶ・・・あずきは大抵持ち金全部で賭ける・・・そのほうがスリルがあって楽しいんだと。
「・・・今いくら持ってるんだ?」
「んとぉ、10Gぐらいかな?」
10Gっつったって10Gって意味じゃなくって10、000、000、000のことってわかるよな?
このゲームのお金の単位はRだから、1Kが1000R。1Mが1000000R大体どこのゲームもこんな感じの略称使ってるよな?
「んじゃ、持ち金全部で」
騎士はニヤって笑ってたけど、普通気付くよな?銀行もどきの倉庫があるんだから10Gなんて持ち歩くのおかしいってさ・・・やっぱこいつ馬鹿だわ。
賭け金持ち金全部に設定すると、システムが勝手に持ち金とっていくから、勝敗がはっきりした時点で合計金額が勝者に渡されるから不正もできない・・・てか、今から狩りに行くのに10G持ってて死んだら半分落とすのに、普通持っていかねぇって・・・まぁ、あずきもアホの子だからな(キッパリ)
PV用のフィールドが展開される。勝敗つくまでこの2人しか入れないスペースだ。広さはそこまで広くなく、直径10Mくらいかな?
「うふふ・・・教会送りになるまで貴方もここから出れないんだよねぇ」
フィールド展開された途端にあずきの表情が変わる。
すちゃっと両手に構えるのは漆黒の鎌・・・なんのエンチャントも施されてないただの草刈鎌だ・・・
あずきのPV用武器漆黒の命を狩る刃・・・意味わからん。
判るのは、あずきがある病をこじらせているってことぐらいか・・・
てっぺんにぴよっと生えたアホ毛を楽しそうに揺らしながら、鎌を2・3回振るとドンっと音がしそうな勢いで鎌の二刀流で騎士に迫っていく。
騎士はとっさに盾を構えるが、構えたことであずきが見えなくなったようで、視線がさまよっている。その間にあずきは盾の手前でキュキュっと方向転換し、構えた盾の脇から鎌を振るった。
ちっこい身体のせいか、小回りが利くっていうか・・・細かくは聞いてないけど、こいつSTRとAGIしかステ振りしてないんじゃないか?あぁ、でも料理するのにDEXは必要か・・・まさか・・・INT0か?!
あずきならありうる・・・『ボクは魔法使わないからINTなんていらなぁ~い』なんて言いそうだ。
リアルでもアホなのにゲーム内でもアホとかってどうなんだよ!
「あれぇ?ボクまだスキルとか使ってないよぉ?もっとボクを楽しませてよぉ♪」
・・・ほんとお前、PVになると人が変わるよな・・・楽しそうってか、嬉しそうだし・・・戦闘狂ってよりなんか、快楽殺人者に見えるのは気のせいだろうか?・・・気のせいにしたい。
あずきは言葉通りスキル一つ使わずに鎌を振っている。
大口叩いていた騎士はなんかスキル使っているはずなのに、圧されてるぞ?
まぁ、あのはしゃぎっぷりには引くものがあるよな?うん。たぶんそっちだな。
鎌を振るいながら恍惚と微笑んでる幼女なんて・・・こえーよ・・・
なんか、この騎士が可哀想になってきたぞ?同情できそうだ。
「このっ!・・・なんでっ・・・こんな・・・幼女が・・・強いんだ・・・よっ!」
あずきの猛攻を防ぎながら、多少反撃もしてるようだけど・・・だからな?VRで幼女でも、中身は幼女とはかぎらないだろ?それすらも思い付かないんだろうか?
「あずき、あんまり遊ぶな。さっさとカタをつけろ」
三郎はPV好きじゃないからなぁ・・・人が殺されるシーン苦手だから、大抵あずきがPVし始めるとどっか行くのに、出かける約束したからここに居るんだろうしなぁ。
あ~・・・あずきのやつ聞こえてないわ。嬉々として鎌振ってやがる。
血が飛び散らないだけマシだと・・・思ってくれないわなぁ・・・そういうとこだけ無駄に女の子してるよなぁ・・・今はガチムチだけど。
あ、騎士のHPが残り一割切ったみたいで、膝ついた。
このゲームってHP一割切ると身体の力が入らなくなるんだよな。コツをつかめば残りHP1でも戦ってられるんだが、コイツやっぱり表面だけしか準えてないんだな・・・ゲームなんて、重箱の隅をつつく様に細かいとこまでやっていくのが醍醐味なのに・・・ホント可愛そうなやつ。
そうこうしてるうちにあずきは、膝をついた騎士を押し倒し、馬乗りになった・・・マズイ!
「あはははははははは!!」
興が乗ってるようで、恍惚の顔のまま両手の鎌を交互に騎士に振り下ろしている。
三郎は片手で顔を覆って上を向いているし・・・また、止めんの俺か?
しょうがないからフィールドの側でPV終了を待つ。
終わらんと近付けないしな。
そう経たないうちに騎士の身体がパンっと光になって弾けて消える。
フィールドが消えると素早くあずきに近付き、俺は拳を脳天に落とす。
「あれぇ?もう終わりぃ・・イっ!!!・・・ッ!!・・・・」
PT間のこういったツッコミは(多少激しくとも)攻撃とみなされないのでHPは減らないが、痛みは与えることができるようだ。
「PV好きなのはいいがな?お前のはやりすぎだ!」
頭を抱えて涙目になっているあずきに説教をかます。
「三郎はPV嫌いって知ってるだろ?するなら居ないとこでやるか、もうちょっと手加減を覚えろ!・・・って・あ~・・・」
説教の途中で憤怒の表情の三郎が、あずきの首根っこ掴むと、猫のようにぶらんぶらんさせながら噴水まで歩く。噴水が見えてきたら、ブンと腕を振ってそのままあずきを噴水の中に投げ込んだ。
確か、腕力無かった気がするんだが・・・怒りで筋力アップなんてあるのか?
「にゃ~~~~~」
猫みたいな間抜けな悲鳴を上げながら、漫画のように綺麗に飛んでいったあずきは、ばっしゃーんといい音をさせて噴水に飛び込んだ。
少ししてゲホゲホと噎せながら這い出てきたあずきは、そろりと三郎に近づく。
噴水の淵に足を開いて腕を組み男らしく座った三郎の前に来ると、首を傾げあずきは上目遣いで三郎を見上げる。
「えっと・・・サブちゃんごめんね?」
可愛らしさを演出・・・いや、あれが地なんだが、あずきに慣れてる俺たちにはそれが通用するはずもなく。
「正座」
地を這うように低い声で命令されれば、素直に三郎の前に正座する。
「あの~サブちゃん?・・・あのね?ボク濡れてるんだけど?」
あずきの控えめな主張に三郎は、十字架の形をした鈍器であずきの頭を殴る・・・一応あれでも杖の分類に入るんだけどな?三郎が持つと鈍器に見える不思議・・・
「ッ・・・ッ・・・」
一応殴りながら乾燥させたようで、痛みに悶えてるあずきは乾いていた。
無詠唱で器用なことをする。
「あずき?私前にも言ったよね?対人戦は苦手だって・・・ワザと?ここまできたらきっとワザとよね?それとも嫌がらせかしら?PV位好きにしてもいいけど、やりすぎなのよ。わかってる?」
あ~・・・三郎?お前、その野太い声で地の話し方はやめてくれ・・・オカマに見える。
ブチ切れると地が出るのはしょうがないが、今は止めてくれ・・・俺のHPが削られていくようだ・・・
「すんません」
あずきも能天気な高い声で無く、普通に男声だし・・・
「それに、今からPT行こうって誘っておいてこれはなんなの?自分の快楽のためなら、私たち放置で良いって訳?」
三郎も、変なとこで真面目だしなぁ・・・
「はい、全部ボクが悪いです。ゴメンナサイ」
三郎の隣に座ってはみるが、憤怒の表情でオカマ言葉のガチムチに、正座してしょぼくれている可憐な幼女(男声の)・・・俺。疲れた・・・もう落ちていいですかね?