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第2話 エルフの少女

  エルフの少女はルーと名乗った。


「私はこの近くのエルフの里から来ました」


と言ったので種族もエルフで合っていたようだ。

どうやら本当に異世界へ来てしまったらしい……。


俺は、とりあえず下の名前の「悠」とだけ名乗った。

手伝ってくれるという彼女にお礼を言いつつ、再び質問を投げかける。


「ところで君は、ここで一体何をしてるんだ?」


「あー私の事は、ルーで結構ですよ」


「じゃあ、ルー この森で一体何を?」


見たところ年下の様だし、自然と敬語じゃなくなってるな…俺

まあいいか、別に気にした風でもないしな。


しかし…なんかさっき記憶が混乱してると話して以降やけにニコニコしているな。何故だろう?

まあとりあえず機嫌が良いのは悪いことではないなと思い、気にせず質問の回答を促す。


「ギルドの依頼で魔物を狩りに来たんですけど……」


「ギルド?」


「はい、もしかしてギルドの事もおぼえてないんですか?」


ギルドか…もちろん聞いた事はある。ゲームなどでよくあるシステムだ。依頼を受けて解決すると報酬がもらえるというのが俺のイメージだが。

しかし、俺の予想が合っているとも限らないな…とりあえず聞いておくか。


「すまないギルドの事もおぼえていないようだ、説明してくれるか?」




 ルーから話を聞いた限りだいたいギルドというのは俺の認識で間違いはなかったらしい。


「でも詳しい話はギルドの職員さんに説明を聞いた方が良いと思います」


ちょっと待て。ついギルドという言葉に反応したがそれより気になる言葉を言ってなかったか?


「えっと……この辺魔物が出るの?」

「はい」


ルーがもちろんといった表情で頷く。


「でかいイモムシみたいなのも?」


先程の出来事を思い出し、聞いてみる。


「……たぶんキャタピラの事だと思います。」


キャタピラはこの辺りではポピュラーな魔物らしい……。

話を聞いていくとファンタジーではお馴染みのゴブリンやオーク等の魔物も存在しているようだ。


話を聞いて恐ろしくなった俺は、目の前にいるエルフの少女から絶対に離れまいと心の中で誓った。

さっきオークとかに出会ってたら絶対死んでたな……俺。


「あの、ユウさん質問いいですか?」


なんか俺の服装をちらちら見ているな、やはり珍しい服なんだろうか…

あきらかに森に入るかっこじゃないもんな、Tシャツにチノパンだし。


「ん、ああいいよ俺に答えられることは少ないと思うけど。」


「ユウさんの、ジョブってなんですか?」



ジョブか……

これはまたなんて答えたらいいのかわからない質問が来たな。おそらく元の世界の俺の仕事である「探偵」の名前を出したところで、少女は理解できないだろうし求めている答えとも違うだろう。

少し考えて、もう無知な事はバレているのだからと開き直る事にした。


「自分のジョブってどうやって知ることができるんだ?」


「えっと……」


俺の回答が意外だったのか、ルーが少し考えた後こう言った。


「自分の能力が見たいと頭の中で念じればわかると思います。」


ルーの返答にゲームで言うステータス確認みたいだなと心の中で思った後、ステータスが見たいと念じてみた。すると頭の中にいくつか情報が浮かんできた。


ジョブ:なし


レベル1 22歳 男


スキル:なし





「スキルすら無いのかよ……」

つい、小声で呟いてしまったが、聞こえなかったのか、ルーは特に反応しなかった。

しかし…たしかにステータスの確認はできたが、この内容では少女の望む回答ができるわけでもなく、俺は申し訳なさそうにこう言った。


「えっと……ジョブなしって出た」


「えっ!」


びっくりした風に見えたルーだったが、ポンっと手を叩いてこちらに聞いてきた。


「ユウさんもしかして教会で祈りを捧げていないんじゃないですか?」


教会? 祈り? と頭の中で考えていると。ルーが続ける。


「みんな幼少期に教会で祈りを捧げてジョブを授かるんです。一部ではあえて大人になってから授かる人もいるみたいなんですけどね。」


「それと……祈りを捧げた時にスキルを取得できる事もあるようです」


さっきの呟きは聞こえてたのか。

気を使わせてしまったかな。

どうやら話を聞く限りこの世界ではジョブを持つのは一般的らしい。ジョブを持つことのメリット等が気になった為、ルーに色々聞いてみることにする。


まとめるとこういうことらしい。


ジョブを持つとジョブなしの状態より身体能力が少し上がる。

まれにスキルを取得する事がある。

ギルドに登録できるようになる。

ジョブを授かる時はお金がかからない。

転職はできるが大金がいる。


まあその他わからない事ができたら教会で聞けばいいだろう。


とりあえず教会に行ってジョブを授かりに行くか…元の世界への戻り方もわからないんだからこの世界で生活する基盤がいるしな。魔物が存在している世界じゃ身体能力は少しでも有ったほうがいいだろう。

案内をルーに頼めるといいんだけど。

視線をちらりとルーの方向けると


「よろしければ私の村の教会までご案内しましょうか?」


ルーには感謝してもしたりないな。


「ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうよ。正直一人だったらこの森から生きて出ることさえできないと思うからね。」


ルーはそんな俺の言葉に笑顔を返してくれると


「じゃあ、行きましょうか?もうすぐ日も落ちてしまいそうですし」




とりあえず今日森で命を失うことは回避できそうだ……。





















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