第1話 出会い
異世界テンプレ物です
ノリで書いてみました。少し後悔してます。
暇つぶしにはなるように心掛けていきたいと思います。
気が付くと俺は見知らぬ場所にいた。
さっきまで人混みで溢れ返った街中にいたのだ。
だが、今は静かで周りに草木が生い茂る大自然の中にいる。違いは一目瞭然だ。
「ここは……どこだ?」
つい、いつものクセで独り言を呟いてしまうが、この状況では致仕方無いだろう。
周りを見渡しても自然が広がっているだけで、近くに人のいる気配は無い。
普通の人ならこの状況では混乱してしまうだろう。
だが…
俺の職業は探偵だ。突飛な状況には慣れているし、この程度で冷静さを欠く様な事は無い……。
んなわけない。
探偵といっても殺人事件の推理をするわけでも、警察の手伝いをするわけでもない、浮気調査等が
主な仕事だ。こんな状況で冷静に考えることなどできるわけもなく頭の中には?マークがいくつも浮かんでいた……。
ようやく思考が落ち着いたころには随分と時間が経っていた。
しかし、この場所に来る直前に何をしていたのかを思い出すことはできなかった。
思い出せないのはその部分だけなので最終的には仕方ないと一旦諦めることにした。
「とりあえず、人のいる場所を探そう…さすがにこんな森の様な所で夜を迎えるのはゾッとするからな」
今はまだ明るい。とりあえず時間を調べようとして服のポケットに手を入れるが、そこにあるはずの物がなかった。あれ?と思い逆のポケットもまさぐるが何も入ってない。スマホや財布は持ってないようだ……。
というか持ち物自体全く持っていなかった。
「まずいな、とにかく人を探すか。」
森の中を探索することにする。
探索から10分程度過ぎた頃変なものに遭遇する。
「なんだアレ!?」
そこには巨大なイモムシの様な生き物がいた。
「あ、あんなイモムシ見たことないぞ、サイズも人間とさほど変わらないじゃないか」
幸いにもこちらの存在には気付かなかったようで、俺は大慌てでその場から逃げ出した。
「な、何なんだよこの場所は、とにかくこの森はヤバイ…早いところ人を見つけないと」
巨大なイモムシの登場で完全にビビってしまった俺は、慎重に森の探索を再開する。
しばらく探索を続けていると遠くに人影らしきものが見えた。
せっかく見つけた人だ。間違っても見失わない様に、すばやく距離を詰める。
声の届く距離に近づいてから、声をかけてみる。
「あの!」
人影はこちらに気付いた様だ。体がこちらの方を向く。
今度は一気に目の前まで移動してその人物を確認しようとすると、そこには人と呼んで良いのかわからない存在がいた。
姿かたちは人間にそっくりだが、なんか耳の部分が尖がっている……。
まるでファンタジー等に出てくるエルフの様だ。エルフは一般的に全員美形であると言われることが多いが、目の前のエルフ? の少女も例に漏れずとても美しい容姿をしている。もちろん金髪ロングだ。
急いで距離を詰めたため息が上がってしまい、喋ることができないでいると少女の方から
「なにか御用ですか……?」
と声をかけられた。なにやら怪しい人を見るような目で見られる。
とりあえず言葉は通じるようだ。エルフのコスプレをしているのだろうか?
服装はなんか森に狩りに来た人みたいな服装だな。弓も持ってるし…
だがあの耳の質感は……。
いろいろ考えているうちにようやく息が整ったので一番に聞いてみたいことを質問した。
「すいません、ここってどこですか?」
少女は一瞬怪訝な表情を浮かべたが興味を惹かれたようで素直に答えてくれる。
「ここって……カーナの森の事?」
この森はカーナの森と言うらしい、そんな場所聞いたことねーよと思いつつさらに質問を重ねてみる。
俺は質問をしていくうちに少しづつだが自分の置かれた状況を理解しつつあった。
どうやらここは日本、いや地球ではないようだ。
ここはバルジ王国のカーナ地方という所らしい……エルフといい地名といいゲームの世界みたいだな……
そんな事を考えていると、今度は逆に少女が質問をしてきた。
「それで…あなたは何故そんな質問を? それとあなたは人族ですよね? こんな所でいったい何をしているんですか?」
それは逆に俺が聞きたい! という言葉を飲み込んで考える。しかしここにくる直前の事はどうしても思い出せないし、他に答えるべき回答を見つけられない。
先程日本って場所聞いたことあるか?と聞いたが少女は全くわかっていない様だったし……
それと人族というのは人間の事か?やはり彼女は人間以外の種族?
嘘をつくのは心苦しいが他に言いようがなかったのでこう答えた。
「記憶が……混乱していてほとんどおぼえていないんだ。気がついたらこの森にいたんだ。自分の名前とかはおぼえてるんだが……」
嘘くさいな。むしろ全部おぼえてないと言った方が良かったか?
自分でも嘘くさいと思うくらいだ……目の前の少女もそう思うだろう。
だが以外にも少女の反応は違った。
「えっ! 記憶が…?」
少女は逡巡した後こう言葉を続けた。
「それはお困りだと思います。よろしければ何かお手伝いできる事はありますか?」
これが俺「哀原 悠」の異世界での始まりだった。