表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

こんな世界

とある大都市に隣接するスラム街。

蛇の様にうねりながら繋がっていて木やトタン板に布や絨毯を掛けて上から釘を打って止めただけなどの質素な作りでできた小屋が

彼らの住まいである。

都市の近代化・発展と共に近くの過疎化した村から大勢の移住民がやってきたが都市の治安の悪さや失業率の高さが原因となり

開発途中区域に無理やり押し入ってスラム街を形成、政府側なども根本的問題を解決しなければスラム街を解体できない為

無法地帯となっていた。

そんなスラム街を歩く一人の少女、背中には少女の背より倍高いゴルフバックのようなバックを背負いながら少女はスラム街を歩く。

真昼間だというのにスラム街はとても静かだった、隣の地区で走っている車やバイクの騒音が聞こえてくるほど静かだった。

少女は赤い絨毯が入り口に掛けられている小屋に入る。

「おじさん、いる?」と部屋の奥に向かって一言、すると少し暗い部屋の奥から一人の中年男性が出てくる。

中年男性は「またか」と短く呟き机の前にある椅子に座る。

部屋の中は長方形の机と丸椅子2,3個が真ん中に置かれ周りの棚や地面に置いてあるものには布が被せてあった。

もじゃもじゃ髭が生えている中年男性は自分の髭を触った後に机の上に置いてあったランタンに灯りを灯す。

慣れているような動きで少女は椅子に座る。

「今日はどうしたんだ?」と中年男性は会話を始める。

「7.62を買いに来た」と短く少女がポケットをあさりながら呟くと「どうせクリップもだろ?」と中年男性は苦笑いする。

少女は「うん」と頷く、「ちょっと待ってろ」と言い奥の部屋に行くと奥の部屋から「今日は何個なんだ?」と質問が来る。

「3個ほど」と返答すると少ししてから箱を持って男は戻ってくる。

椅子に座ってから持ってきた箱の中から7.62mm弾が八発装填されたM1ガーランド専用クリップを三つ取り出し少女に渡す。

少女はポケットから金貨を数枚机に出す、男は「ちょうどだな」と言い机の上の金貨を手で掴む。

「今日はつれはどうした?」と会話は続く、「レディは仕事、ニックは靴磨き」「じゃあもう少しここで待つか?」「うん」少ししてから

「何か飲むか?」と男が口を開く「ブラッドマンの淹れる珈琲は苦いからココアがいい」と少女はクリップを腰に付けてあるホルスターに

入れながら呟く。

「エトナにはまだ早いだけだ」と再び奥の部屋に行く。

少ししてから誰かが赤い絨毯をくぐって入って来る「レディ、もう仕事終わったの?」とエトナは赤い絨毯をくぐって来た黒いコートを着た

二十歳位のレディと呼ばれた女性に質問する。

「そう、もう終わったの・・・で私もいい?」と椅子に座る。

ブラッドマンが奥の部屋からココアを淹れたカップを持って出てくる「おや、レディも飲むのか?」「私もココアで」と短い返答をすると

ブラッドマンは「はいはい」とカップをエトナの前に置き奥の部屋に入る。

「ニックはまだ靴磨きしてるの?」とエトナはレディに訊く「知らないわよ、こっちが知りたい位よ」「ニックの今回の靴磨きの件は私だから

レディは関係ないじゃん」「別にいいじゃない、情報が漏れたり私が的<ターゲット>を間違って殺るわけじゃないんだから」

「今回の的<ターゲット>は誰なんだ?」とブラッドマンが奥の部屋から出てくる。

「ヴィンセント・ゴルゴヴィッチ、マフィアのボスでこのスラム街の南東で薬の密売したりしてる」と写真を取り出しブラッドマンにヒラヒラと

見せつける。

「最近は政府の活動もあるからゴルゴヴィッチ家や他のマフィアも減ってきてるんだろ?」とレディにココアを渡し椅子に座る。

「表面上はね」「他のマフィアは数を減らされないようにせっせと逃げてるわ」とココアを一口飲んでからレディが言う。

「逃げられてるだけで実際は減ってないのか」「政府は軍を治安の為に使ってるよ」「最近は装甲車が道路を通っているのも

少なくないわ」とレディは溜息をつく。

政府は都市の治安の改善とスラム街の解体の両面を解決するために根本的問題の一つであるマフィア等の撲滅から始めている。

政府は軍隊を使ってマフィアの撲滅を行っている為エトナ達のような殺し屋稼業は関わってしまうと厄介になってしまって面倒なのだが

一方でマフィアがこのスラム街で麻薬を密売するなどの活動をする為数を減らしてくれるには有り難いのだ。

そうこうしてココアを飲みながら待っていると赤い絨毯をくぐり一人の青年が入って来る。

「あ、いたいた」と作業着を着た青年はエトナ達に言う。

「ニック遅いぞ」とエトナは溜息をつく。「今回は客が少なくって時間がかかった」と疲れ気味に言う。

「ブラッドマン、ナイフ売ってる?」「種類は少ないぞ」と床に掛けてある布を取り鉄箱からナイフを数本取り出す。

「アーミー、ジャック、バタフライ、最近は外国の土産物の装飾されたナイフを改良した奴もあるぞ」「・・・普通のボウイナイフをくれ」

と少し迷ってからニックは注文する。

ニックにボウイナイフを渡し、ニックから銀貨2枚と金貨1枚を受け取り「ブッチャーもいるか?」と笑いながら聞くとニックは「俺は精肉屋

じゃない」と言いながらボウイナイフを回す。

「もうそろそろ行くから」とエトナは椅子から降りてポケットをあさる。「今日は私が払っておくから」とレディが銀貨を2枚ほど先に机に置き

支払う。

「気をつけろよ」とブラッドマンが見送るとエトナは振り向かずに手を振って行った。

スラム街を歩きながらエトナとニックは会話をする「それでどのくらい集まったの?」「あんまり・・・でも集まったのは全部有力だよ」

と自信満々に話すニック。

「レームス通りは軍の装甲車が多く通るからヴェーズ1番通りを通ると良いと思うんだが」「どちらにしろ今度の取り引きでゴルゴヴィッチが

出てくる」「ホテルはどうする?」「近くがいいな、なるべく下の階の手配を頼む」「?、何故下の階なんだ?」「すぐ出れるようにだ、

なるべく狙撃しないで奴らの目の前で殺す為だ」「見た目に似合わず残酷なのね」とレディは鼻で笑う。

「レディの方が残酷じゃない、的<ターゲット>を血祭りにした挙句、的<ターゲット>の家の玄関の前に首吊り状態で公開処刑に

してたじゃない」とエトナはレディを見上げる。

「あれが私の殺り方なの♪」と乗り気に言うレディ。「しかも公開処刑って暗殺にしては派手すぎるよ」と納得いかずにいる。

「じゃあ、エトナのわざと相手の目の前に出て殺る殺り方もどうかと思うわ」とレディは不思議そうに言う。

「まるで的<ターゲット>のプライドを踏みにじるような殺り方ね」「まさかこんな美少女に殺られるなんて的<ターゲット>は夢にも

思ってないでしょうね」「美は余計なんじゃない?」「おばさんに公開処刑されるよりはマシだと思うけど?」「おばさんじゃなくてお姉さん

・・・!」そんな会話をしているといつの間にか大通りに出ていた。

「ここ何番通りだっけ?」とエトナがニックに質問する。「三番通りじゃないかな?クッキー爺さんがやってるお菓子屋があるから」

「そういえば次の祭りクッキー爺さん出るかな?」「多分出るでしょ」「またクッキー貰おう」とクッキー爺さんの話をしながら”the cookies

confectionery"と書かれた看板が掲げられた煉瓦で出来たクッキー爺さんの菓子屋を通り過ぎた後レームス通りに出る。

角を左に曲がりヴェーズ1番通りまで真っ直ぐ行き角をもう一度左に曲がる、赤信号で装甲車が一般車と一緒に止まっているが

それさえも人々には普通の日常風景に過ぎない。

ヴェーズ1番通りに入るとそこは低い建物が並ぶ路地になっていた。その中に1建だけ少し高い建物がある、ホテルだ。

エトナ達は狭い道路を渡りホテルの中に入る。

ホテルの中のロビーは天井が吹き抜けになっており硝子張りになっている壁から光がロビー全体に差し込んでいた。

「ニックお願いねー」とエトナとレディはロビーのソファに座る。「はいはい」とニックはフロントに向かう。

エトナはロビーをキョロキョロと少し見渡し「此処のロビー広すぎない?」とレディに言う。

「それはあなたが子供だからでしょ」と子供連れの夫婦を見ながら言う。「レディとは歩幅も違うしこんな重い物も持ってるんだよ」と

自分の身長の倍あるゴルフバックのようなバックを見ながら口を尖らせて言う。

「でも私だって男の人ほど大股じゃないわ」「でも大人でしょ?」「…重いならもっと軽くて小さい物にすればいいじゃない」「あっ、話題

変えた!」「大体なんで木造のM1に拘るのよ」「話題変えるのは卑怯だよ」「別にい・・・あっ、ニック戻ってきたよ」「丁度良い時に

戻ってくるのね」「下の階取っておいたぞ」「あっ、ありがと」ニックはエトナに021と書かれたタグの付いた鍵を投げ渡す。

「レディはどうするんだ?」「エトナと同じ部屋で過ごさせてもらうわ」「じゃあ俺は家に戻ってるから」とニックはホテルを後にする。

エトナとレディは八角形のエレベーターに乗り2階へ行く。

八角形のエレベーターは角の所に蛍光灯が装飾されてエレベーター自体は濃い茶色の木でできておりレトロなふいんきを出していた。

2階に着き021号室を探す。

「ところでレディはいつまでホテルにいるの?私は時間になったら行くから」「私はどうしようかな?暇だから付いて来ただけだし・・・」

「お金はニックが払ってくれたし…1日居ても大丈夫だと思うけど」021号室を見つけ鍵を空けて中に入る。

ゴルフバックのようなバックを置きベッドにボフッと倒れ込むエトナ。

レディは早速ルームサービスでワインを注文していた。

3分位してからルームサービスが来る。「もっと高い部屋なら景色が見れたのにね」とレディはワインを飲みながら愚痴る。

「すぐ出れないじゃん」「でも別に間に合わないとかわないわけじゃない?」「ていうかこの話さっきしたじゃん」等と会話をしながら時間を

潰していく。

―同時刻、別の地区では事件で警察や野次馬が騒いでいた。

住宅街の1建の玄関の前にはナイフ等で血祭りにされ顔が跡形も無くなった状態で首吊りされた死体があった。

レディが引き受けた仕事の的<ターゲット>だった。

マフィアの構成員で麻薬や武器の密売、取引役をやっていた。

首吊りされた死体が警察によって下ろされていく。

「どうやってこんな・・・全く酷いですね」と新人刑事は先輩刑事に話す。

「またこいつか・・・」「へ?なんですか?」「いや、この殺り方を見たのは今回3回目なんだ」「そうなんですか・・・」「この殺り方の星を

俺達は通称cruel mafia kill<残酷なマフィア殺し>って呼んでる」「マフィアしか殺らないんですか?」「ああ、殺されたのは全員マフィア

の構成員、人間関係など全部洗ったが一切事件に関連する情報は出てこなかった」「てことは暗殺ですか?」「だろうな・・・」

そんな刑事達の会話をよそに野次馬の中から死体を覗く一人のスーツ姿の男。

野次馬の中から出て来た後、道路の脇に止めてあった車の助手席に座る。

「やっぱり殺されたのはヴォルトモルト家の奴だ」「そうかヴォルトモルト家も大変だな、きっと動くだろうよ・・・」「来週にはか?」「ああ、

そうだろうな・・・」車は角を曲がり大通りから裏路地に入る。

一角のビルの駐車場に車を止めて裏口からビルの中に入る。

「ただいま帰りました」「おう、どうだった」「やはり殺されたのはヴォルトモルト家の取り引き役のボルジョルでした」「そうか・・・今日の取り引き

が心配だな」「はい今回の取り引きは大きいですからね」「今回のが成功すればかなりの大儲けになる」と言い椅子に深々と座り煙草の

煙を吹かす一人の男、ヴィンセント・ゴルゴヴィッチ。マフィアのボスでゴルゴヴィッチ一家の頭である。

「後2時間ほどしたら出るぞ」「はい、わかりました」そう言ってヴィンセントは部屋を後にする。

時刻は夕刻、夕日が雲やビルを橙色に染めている。円く橙色に輝く夕日は時間が経つにつれ沈んでゆく。

夕日が沈んでゆくにつれ空は明かりを失い暗い夜空に変わってゆく。

空が薄暗くなった頃ヴィンセントは部屋に戻り「皆、準備は出来たか?そろそろ出るぞ」と机の横のコートハンガーから掛けてあったスーツを

羽織り部屋を出る。

駐車場に止めてある黒い車にヴィンセントが乗った後アタッシュケースを持った男が二人車に同乗しエンジンを掛け車は走り始める。

車は大通りを通りだんだん狭い裏路地に入って行く、とある一角を曲がると工場地帯に入る。

建物の大きな鉄扉の前で車を止める、車の中から一人の男が出てきて鉄扉をこじ開ける。車はゆっくりと建物の中に入って行く。

「あいつらは遅れてくるでしょうかね?」と車を止めミラーを見ながら言う「さぁな、だが確実に来るだろ取引が成功すればこっちもあっちも

得をする」「最近はマフィアだけ殺られてるからきっと取り引き先も警戒してるでしょうね」「ああ、俺も怖いぜ。早く取り引きを終わらせたいぜ」

と全く怖がっていない様子で煙草を吹かすヴィンセント。

その頃ホテルではエトナが既に仕事の用意をしていた。「レディ、私もう行くから」「ああ、そう私はもう少しだけここにいるから」「わかったわ、

じゃあ行ってくるわ」「いってらっしゃい、気をつけて」エトナは後ろは振り向かずに手を振って扉をバタンと閉め出て行く。

エレベーターでロビーまで降りて早歩きでホテルを出て行く。

ホテルの前にはタクシーが止まっていた。中から人が出てきてホテルに入って行く。

そんな様子をちらっと見て右に進む。レームス通りから遠ざかりヴェーズ1番通りを奥に進んでいく。十字路を右に曲がり緩やかな坂を

登ってゆく。ちょっとした通りまで出ると角をまた曲がる。歩道に設置されたレトロな電灯が暗くなった足元を照らす。

エトナはヴィンセント・ゴルゴヴィッチが取引場所に選んだ工場地帯に入って行く。

1台の白い車が建物の中に入って行く。建物内に既に止められていた黒い車と対をなす様に白い車は縦に止まる。

白い車の中から数人の男達が出てくる、それと同時に黒い車からも男達が出てくる。

「やぁ、ヴィンセント・ゴルゴヴィッチ。会うのは三カ月ぶりかな?」「いいや四カ月だ。兄弟の誕生日パーティ―以来だ」と白い車から出て来た

男達の中の一人がヴィンセントと会話をする。

「さぁ、とっとと取り引きを終わらせようジョア、早い方が良い」「マフィア殺しを恐れているのか?」「ああ、いつどこにいるかわからないからな」

「まぁ、確かにそうだな」パチンとヴィンセントが指を鳴らすと後ろについていたアタッシュケースを持った二人の男が前に出てくる。

ジョアの後ろについていた男がアタッシュケースを持って前に出て、同時にパチッとアタッシュケースを開ける。

ヴィンセント側のアタッシュケースには袋に密閉された白い粉が詰められている。ジョア側のアタッシュケースには大量の金貨が入っていた。

「何袋入ってるんだ?」「1箱に20ほど、2箱で合計40だそっちは?」「こっちは30億ほど用意させてもらった」「よし交渉成立だ」「わかった、

よし交換しろ」「え?確認しないんですか?」「俺はヴィンセントを信じてる、奴は裏切らない」「はい、わかりました」アタッシュケースを交換

しようとした瞬間、キィンと音が響きアタッシュケースに穴が開く。

瞬時に男達は身を屈める。「銃だ!」「くそ、例のマフィア殺しか!?」どの方角から撃たれたのかがわからない為男達は混乱する。

「ヴィンセント!」「ジョア、取り引きは一旦中止だ!」「くそっ!ずらかるぞお前らっ」「は、はいっ」「くそっ!大事な物に穴が開いちまった!」

男達は懐からトカレフTT−33を取り出し身構える。「お前らっ、ジョアさんを守れっ」男達はジョアを取り囲むようにして守りながら車に

乗り込み、車を出す。「ヴィンセントさん、俺達も早くっ」「ああ」ヴィンセントが車の方へ向かおうとした時、一人の人間の足音が聞こえた。

男達は各方向にトカレフTT−33を構える。足音はだんだん近づいてくる・・・。すると暗闇の中から一人の少女が現れる。

「!?」「何で子どもがこんな所にいるんだ・・・」男達は唖然とする・・・だがよく見ると少女は背中に何かを背負っている、銃だ。

「まさか、例のマフィア殺しって子どもなのか?」「こんな夜に子どもがこんな処をうろつくなんてどう考えてもおかしい、かまわねぇ撃て!」

ヴィンセントの掛け声で男達は一斉にトカレフTT−33をエトナに向けて乱射する。

エトナは素早く物陰に隠れ背負っていたM1ガーランドを構える。

「くそっ、何処に行きやがった」男達は警戒し辺りをキョロキョロと見渡す。

エトナは高く積まれた木箱や鉄骨を駆使して上に登る。高く積まれた木箱のてっぺんに着くとエトナはM1ガーランドの銃身を持ち木箱

のてっぺんから勢いよくジャンプして下にいる男にM1ガーランドのストックでおもっいきり、ハンマーの如く男の頭を叩く。「ぐおっ」

足をつき瞬時に次の男にストックで頭を横殴りして気絶させる。

「なんだっ!?」「どうしたっ」車の左側にいた男達は何が起きているのかがよくわからなかった。

理由はエトナの身長が低い為に車体に隠れて見えないのである。

車の右側にいたアタッシュケースを持っていた男がエトナに向けてトカレフTT−33を撃つ。エトナは紙一重で銃弾をかわし車の

ボンネットの上に乗り転がりながら移動し、車の左側の男の顔面をM1ガーランドのストックで殴る。

「がっ」男は痛さでトカレフTT−33を落とし膝をつく。

「よっと」エトナはボンネットから降り右側にいたもう一人の男をストックで殴った後、腹を突き、打ちのめす。

顔面を殴っておいた男はまだ意識があったのでエトナはその男の股間を思いっきり踏んでおいた。

(後一人、まだいるなどうしようか・・・)と考えながら車の中に入ろうとした瞬間、後ろでカチャと音がする。

「やぁ、嬢ちゃんやってくれたね」残しておいた一人が後ろでトカレフTT−33をエトナの頭に突きたてていた。

「悪いけど嬢ちゃんにはここで死んでもらうよ」「・・・」男はエトナの頭にトカレフTT−33を強く押し付けトリガーに掛けてある指に力を掛ける。

次の瞬間、甲高い一発の銃声が建物内に響く。

バタン、と男が後ろに倒れる。「M1を逆さに持ってなかったら死んでたな、危ない危ない」とエトナはヴィンセントを探し始める。

「お前何者だ!最近やけに出てくる例のマフィア殺しか!?」前方にはトカレフTT−33を構えたヴィンセントが立っていた。

「なるべく仲間の方は殺さないであげたかったけど一人死んじゃったね」「誰だ!答えろ!何で子どもがマフィア5人相手に勝てる!?」

バンッとエトナの横にトカレフTT−33を一発撃つ。

「私は仕事で来たまで」「そうかわかったぞ暗殺だな?殺し屋だろ?誰に頼まれたんだ?」「依頼主などの事は言えない、

でも今言えるのはあなたを殺しに来たってこと」「金ならある、なんなら薬でもやるか?頼むから見逃してくれねーか?」「それはできない」

エトナはM1ガーランドを構えヴィンセントに狙いを定める。

「そうか・・・なら死んでもらおうか」「それはあなたの方よ、ヴィンセント・ゴルゴヴィッチ」 バァンッ、バァンッ、バァン、バァン、バァン、バァンッ

、キィッンッ。M1ガーランドの全弾を撃ち尽くし薬莢と共にM1ガーランド専用クリップが宙に舞う。

「ぐっ、はぁっ・・・」ヴィンセントはトカレフTT−33に手を掛けようとしたまま口から血を吐きそのまま前屈みに倒れる。

エトナは倒れているヴィンセント・ゴルゴヴィッチを見下ろした後、何もせず何も言わずその場を立ち去った。

数日後― 「またマフィア関連か」ヴィンセント・ゴルゴヴィッチが殺された工場地帯にはKEEP OUTと書かれた黄色と黒のテープが張られ

パトカーが数台止まっていた。

「今度はまた違う殺り方で殺されてますね」「ああそうだな・・・」「cruel mafia kill<残酷なマフィア殺し>とは違ったマフィア殺しですか・・・

また厄介になりましたね」「ああだがこのおかげでゴルゴヴィッチ家の密売・・・取り引きの所を逮捕出来たんだから、また違う手柄だが

立てれて良かったんじゃないか?」「でも不思議ですよねヴィンセント・ゴルゴヴィッチとパーニア・ヴェスカ以外は全員気絶していたなんて・・・」

「あぁ…相当の手慣れじゃないと出来ないなマフィアを6人も相手にしたのだから」「やっぱり殺し屋・・・ですか?」「だな、しかも一人で…

一体どんな奴なんだか・・・」と新人刑事と先輩刑事は話しながら現場を見渡す。

建物内には朝日がキラキラと差し込んでいた。都市全体に輝く朝日は人々の眠気を覚ます眠気覚ましになる。

そんな眠気覚ましの朝日はスラム街にも降り注いでいた。

朝日を背に浴びながら歩く一人の少女エトナ、エトナはいつもの如く赤い絨毯を入口に掛けてある小屋に入る。

「おじさん、いる?」「あ〜、こんな朝っぱらから何の用だ?エトナ」「暇なだけ」と勝手に椅子に座る。

奥の部屋からもじゃもじゃ髭を生やした中年男性が一人出てくる。「俺はまだ今起きたばっかなんだ、朝食も食ってねぇから腹ペコなんだ

ちょっと待っててくれ」「私も一緒に食べていい?」「ああ?まあいいが・・・ちょっと待ってろ」男は奥の部屋へ行き朝食を作ろうとする。

「何か食べたいものはあるか?」「別に…特にないよ」「そうか、じゃあ適当に作るぞ」フライパンや食器をガチャガチャ動かす音が奥から

聞こえてくる。

エトナはいつもより少しだけ顔に笑みを浮かべながら待っていた。

15分位は立っただろうか、この部屋には時計がなく時間が確認できなかった為、エトナは(今度時計買っておこう)等と考えていた。

少ししてからブラッドマンが奥から皿を持って出てくる。「ベーコンとかパンとか今はそれ位しかねぇ…飲み物はどうする?」

「ブラッドマンの淹れる珈琲は苦いからココアが良い」「やっぱりまだエトナには珈琲は早いな」等と言いブラッドマンは笑いながら奥の部屋へ行く。

二つのカップを持ったブラッドマンが奥から出てきて片方のカップをエトナに渡す。

「あっ、フォークがねぇや」と言いフォークを取りに行くブラッドマン。

フォークを取りエトナに渡しやっと落ち着いて椅子に座り朝食をとり始める。

二人の朝食をとっている姿はまるで父と娘のようである。そんなふいんきではないようなのだがエトナはそんな風にちょっとだけ思ったりしていた。

一方ブラッドマンはそういう風には思ったりはしてなかったがエトナを娘の様に面倒見だけは良くしていた。

「ねぇ、ブラッドマン」「ああ、なんだ?」「お金が入ったから今度一緒に出かけない?」「ほう、今度はどこに連れて行ってくれるんだい?」

「適当に買い物」とちょっと嬉しそうに言う。

「そうか…前の時はどこに行ったっけなぁ?」「えっ?もう忘れたの?」「冗談だよ、ウィリスタームの動物園だろ?」「そう!覚えてたんだね良かった」

「それで買い物とやらはいつ行くんだい?」「今日!」「今日かぁ、じゃあ朝食、食べ終えたら行こうか」「うん!」「何を買うんだ?」

「時計とかかなぁ」そんな楽しそうな会話はどう見ても父と娘のようにしか見えなかった。

初投稿のドが付くほど下手な作品ですが読んでいただき有り難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ