ハサミ
掲載日:2026/10/03
引き出しの中でじっと出番を待っているハサミ。
いつも当たり前のように使っている文房具の、ちょっと不思議な関係性と素顔を詩にしてみました。
『ハサミとは』
二枚の刃がすれ違う、ギリギリの距離感。
仲が良いのか悪いのか、いつも小競り合い。
けれど彼らが一つに噛み合わさる時、
紙の平和は一瞬で崩れ去る。
真ん中に居座るひとつのネジ。
あれこそが彼らの絆であり、仲裁役。
「まあまあ、そう熱くなるなよ」と
両者をしっかりと繋ぎ止めている。
右利きの指には優しく微笑み、
左利きの指には突然ツンデレに変わる。
「ちがう、そっちじゃない!」と紙を噛み込み、
無言の抵抗を試みるひねくれもの。
髪を切れば美容師気取り、
工作に使われれば芸術家気取り。
けれど調子に乗って指を挟むと、
「気をつけて触れよ」と痛烈なお仕置きをしてくる。
開いて、閉じて、ジョキジョキと。
人生のいらないアレコレも、
一刀両断してくれたらいいのにね。
ハサミの目線に立って考えると、普段何気なく使っている道具も少し愛おしく感じられますね。日常のモヤモヤや不要なものも、ハサミのようにスッキリ切り捨てて軽やかに過ごしていきたいものです。




