最終話 エピローグ
不意に少女は目を覚ました。チュンチュンという小鳥の囀りが、窓の外から聞こえてくる。
少女は自分に掛けられた毛布を押しのけると、上半身を起き上がらせながら辺りをキョロキョロと見回した。
アパートの一室には彼女を含め四人の男女が寝転がっている。部屋の中心に置いてあるテーブルには大量の酒の空き缶が積んであり、他の三人はまだしばらく起きる気配は見えない。
その寝息を立てている三人のうちの一人――青年に、少女は注目した。青年はテーブルを挟んでちょうど自分と反対側で毛布を被り眠っている。
少女はゆっくりと立ち上がると、他の二人に躓かないよう気をつけながら青年の傍までやって来た。そして彼の枕元にチョコンと座り、口を半開きにして眠る青年の顔をジッと見つめると、くすりと笑みをこぼした。
「あーうー」
そのまま少女は青年の毛布に潜り込み、静かに目を閉じた。少しすれば、小さく可愛らしい寝息が聞こえてくる。
大好きな人の隣でする二度寝は正に至福のひと時である――彼女の寝顔が、それを何よりも物語っていた。
ここまで読んでくださり、まことにありがとうございます。これにて同棲喰人鬼の本編は終わりになります。
思えば、最初に書きだしてから一年が経過してしまいました。しかし無事に終えることが出来て本当に良かったと思います。ただ心残りというか大きな反省点といえば、設定が蜃気楼の如く揺れてしまったことでしょうか。特に後半での信太郎の性格の変わりっぷりや、一話でのグーラの言動には目も当てられません(汗)。
その辺りの反省を踏まえつつ、これからも小説を書いていきたいと思います。また見かけた時は読んでくださると嬉しいです。
それでは最後にもう一度。ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!
追伸:よろしければ、この次にある外伝の方もどうぞ。