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第8話 満開の桜

夜空に星が瞬く山の頂。

咲弥は胸に桜の枝を抱き、静かに立っていた。

遠くの谷では、微かに影の気配が揺れる。

だが、少女の胸の光核は揺るがず、七つの波長を宿した桜は柔らかく輝いていた。


「この光は……きっと、未来に届く……」

咲弥はそっとつぶやく。

祈りのような想いを、胸の光に込める。


その光は、時を超え、空間を越え、未来の誰かの胸に届く。

まだ名前も知らぬ、その者はただ純粋に、人を守ろうとする心を持っていた。


光はその胸の中で広がり、七つの波長がひとつに溶け合う。

喜び、愛、優しさ、楽しさ、幸せ、誇り、信頼——

すべての光が融合し、満開の桜となって現れる。


咲弥は微笑む。

胸の奥に芽生えた光が、誰かの胸で完全な形となる瞬間を、少女は目に見えないけれど確かに感じていた。


そして遠い未来、その胸の中で桜は花開き、初めて「守る力」が世界に満開となる。

その光は誰か一人だけのものではない。

世界のどこかで、誰かが優しさを選ぶたび、桜はまた咲く。


夜風に乗って、かすかな声が届く——

その名前は、まだ誰も知らない。

だが、胸に光を宿した者は、遠い未来で咲弥の祈りを受け取り、守る心を完全に体現する。


「ありがとう……あなたへ、届きますように……」

少女の声は風に消え、桜の光だけが静かに夜空で揺れた。


そして、未来——

名前も知らぬ青年の胸で、桜は満開になった。

その瞬間、光は完全に融合し、守る力は世界にひとつの形として刻まれた。


咲弥の祈りは、永遠に生き続ける。

守る力の原初は、ここに誕生し、未来へと繋がった。


遠い未来のその胸の中——

誰よりも折れない優しさを持つ青年、福田朋広。

彼の心に、桜は満開となり、咲弥の願いはついに完璧な形で世界を照らした。


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