表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/8

第7話 桜の原型

夕暮れの山の頂。

赤く染まった空を背景に、咲弥は静かに立っていた。

胸の奥で光核が強く脈打ち、七つの波長が微かに震えている。


今日一日、村で何人もの人々を守った。

泣き、怒り、迷い、孤独——

そのすべてが光に触れ、枝に宿った。

枝は小さく揺れ、桜の花弁のように光を放つ。


咲弥は両手で枝を抱え、空を見上げる。

「この光を、絶やさない……」

祈るように、そして誓うように、少女は胸の奥で光核に力を注ぐ。


すると、枝の七つの光がひとつに重なり、柔らかく満開の桜の形を作った。

まだ小さな枝の上で、桜は確かに咲いた。

微かに、だが確かに、世界の理がひとつ変わった瞬間だった。


「……これが、守る力の形……桜……」

咲弥は小さく微笑む。

胸の奥の光核が暖かく脈打ち、枝の桜はゆらりと揺れる。

それは、ただ守る心に応える光。

戦うためではなく、傷ついた心を包むための光。


夜風が吹き、桜の光がひとひら、空へ舞い上がる。

その光は、未来へ向かう種子だった。

まだ誰の胸に届くかは知らない。

けれど、咲弥は知っていた。

この光は、必ず守る心を持つ者に宿ることを。


少女は桜の枝を胸に抱き、山の頂で静かに目を閉じた。

「この命を、誰かを守るために使う……」

胸の光核がひときわ強く脈打ち、未来へと続く道を示す。


遠い未来、名も知らぬ誰かがこの光を受け取り、守る力を完成させる。

その時まで、桜は静かに咲き続けるのだ。


咲弥の物語は、光を守る者として、ここから永遠に続いていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ