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第5話 七つの光

朝の光が社の奥を淡く照らす。

咲弥は昨夜の影喰いとの戦いの余韻を感じながら、桜の枝を手に座っていた。


胸の光核は微かに震え、枝に流れ込む。

昨夜はまだ枝一つ分の光しか宿らなかったが、今は違った。


「もっと……強く……守るために……」


咲弥の小さな声に、枝の光が応えるように強くなる。

柔らかく、温かく、しかし確かに力強い光。

その光は七つの小さな粒に分かれ、枝の先で揺れていた。


ひとつ、またひとつと光を数える。

喜、愛、優、楽、幸、誇、信——

七つの光は、人の心の七つの波長を象徴していた。


「これが……守る力の根っこ……七つの光……」


咲弥は手にした枝を胸に当て、ひとつひとつの光に語りかける。

悲しみや孤独に負けず、光を信じる力が芽生えるように。


谷で見た少年のことを思い出す。

彼の胸の中に、弱くても確かな光が宿っていた。

その光は、未来に必ず繋がると咲弥は感じていた。


「私は……この光を、誰かのために、絶対に守る」


光が枝の先で揺れ、空気が柔らかく震える。

枝はまるで生きているかのように暖かく、咲弥の掌に吸い付くようだった。


しかし、光が強くなるほど、影の気配もまた遠くで揺れる。

胸の光核が痛むのは、守る対象の弱さと世界の闇の距離を感じるからだ。


咲弥は深く息をつき、目を閉じる。

そして未来の誰かに向けて、想いを放つように、光核の枝に力を注いだ。


遠くの谷に、ひとひらの桜の光が舞い上がる。

その光は、まだ名前も知らぬ未来の守人の胸で、静かに芽吹くことになる。


咲弥は小さく笑みを浮かべ、胸の光を抱いた。

この瞬間、守る力の七つの波長が、世界に初めて形を持ったのだ。


そして、桜の枝は微かに震えながらも、確かに生きていた。

未来に届く光を胸に、少女の旅はまだ始まったばかりだった。


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