勝負の行方
男は気にせずサイコロを振り、声を張る。
「んじゃ、僕からいきますよ! せ〜の!」
男が投げたサイの目は、1・2・3だった。チンチロリンで123の出目は倍払い。つまり国王が振る間もなく、男の負けである。
「うわぁ……!? ヒフミだ!? なんでここ一番でこんな目が出るんだ!?」
国王は唖然とした表情で、力なく玉座に座り込む。
「あ、ああ…まさかこんなことになろうとは…お前達、もうこの男を連れて行け。」
騎士達が男の両脇を抱えて連れ出して行く。
「国王〜!? 国王〜!? 僕はこれからどうしたらいいですかねぇ!? 今月無一文なんですよ!? 国王〜!?」
騎士達は男の言葉を無視して、「日雇いの仕事を紹介してやる」などと言いながら連れ出していく。
国王は玉座に沈み、呟く。
「やれやれ…まさかこんな珍事になるとは。ワシの国政、見直す必要がありそうじゃ。」
大臣が国王に近づき、耳打ちする。
「ええ、そうですね。どうやら隣国のナルファ王国の人間達が、うちで賭博場を開いているようです。国政だけではなく、こちらにも即急な対応が必要かと思われます。対応に遅れると……国民があのようなアホになってしまいます。」
国王は眉間にしわを寄せ、拳を握る。
「なんと、ナルファの輩どもが…我が国で不届き千万な真似をしおって。即刻調査団を派遣し、厳しく取り締まらねばならぬ!」
王の間は、再び静けさに包まれた。博打の珍事は、王国の新たな決意を呼び起こす。
そして数年後、アルテミア王国とナルファ王国の戦いではアルテミア王国が勝利するのだが、この一件が戦いのキッカケになった事は、あまり知られていない。




