交換要望所
「ユリカさんは『ニセグリ』が好きなんですか?」
「ん?別に好きでも嫌いでもありませんよ。どうしたんです?」
「主食は『ニセグリ』?」
「ああ・・・」
苦笑したユリカさんが、数日続くと飽きちゃいますよね、と言う。
「交換所で交換したらいいのに」
「え?」
ユリカさんが意外そうにした。
「ここらへんでの主食なんですか?」
「いえ、私の領地で採れるもので、貴重なので交換はしたことがないです」
「ほう・・交換しましょうよ。交換所で!何か食べ物と!」
「んん~・・・」
唸るように困っているユリカさんに、書籍を広げて見せる。
「ニセグリを主食的なものにしているのは、タンパク質とデンプンが多いから?」
「ご名答」
「じゃあ、きっと『アボカド』があるはずだから交換してもらいましょうよ」
「アボ・・・?」
「知らないっ?」
「知りません。初耳かも・・・」
「そういうことか。交換所に、ニセグリ持っていきましょう!」
「ニセグリにつりあう交換かどうか・・・ちょっと・・・アポガド?」
「アボカド、です」
「なんだろう?どういうものですか?」
「木の実です。きっと気に入りますよ。僕は醤油で食べるのが好きです」
「醤油ならありますけど」
「あるんだっ!?」
「はい」
「醤油好きですか?」
「嫌いではありませんけど、なに?」
「だったら、アボカド頼みましょうよ!」
不思議でいぶかしそうな顔をしているユリカさんに頼んで、交換所へ。
そしてアボカド好きな僕の勘で、ニセグリ5個とアボカド8個を所望した。
翌日、部族の方から共通語で、「本当にありがとう」とメッセージ。
気を使って、すぐに食べれる熟したものを、も、要望通りだ。
あと持っていた自分の金を代償に鮭を頼んで、切り身にしてもらった。
その日の夕飯はアボカドの刺身と、鮭の切り身のソテーと庭で採れた野菜のサラダ。
見た目も味も抜群だ。
ユリカさんは嬉しそうにしてくれて、「美味しい」と感動していた。
昔食べた、マグロに味が似ているとアボカドのことを言っていた。
マグロ、って何だろう?
部族さんたちから「ニセグリくれるなら、交換の種類を増やすぞ」と連絡があった。




