養生中
ユリカさんの話によると、僕が気絶するきっかけだったあの魔法。
あれはやっぱりバリアと風魔法で、僕の服に付着したキノコの胞子を飛ばした。
あの樹海のキノコの胞子は、人体に基本的に有害。
そして疲れた僕の頭は、その魔法に意識も吹き飛びそうになった、ってことらしい。
人影として見えたのは、目深にフードをかぶったローブ姿のユリカさん。
手に持っていたのは魔法の杖で、宝石のような石が付いていた。
ユリカさんいわく、魔法の杖を使うと、力の操作が上手くいきやすいらしい。
つまり魔法の杖がなくても魔法が使えるのか聞いたら、苦笑されただけだった。
一人暮らしをしている、について、気づくのにおくれた。
この記述を書くまで、僕はベッドに眠っていた。
そしてユリカさんはソファに眠っていたのだ。
いくら養生が必要な状態だったとは言え、罪悪感がする。
どうやって森を抜けるのかについて、この場所は樹海ではないらしい。
『魔法の森』・・・?
眠る場所をベットからソファに交代して、僕はふと気づく。
風呂に入っていないのに、匂ってない・・・?
ユリカさんが、抗菌防臭魔法をかけてくれていたらしい。
その上で、お湯を布に浸してしぼったもので、時々身体を拭いてもらっていた。
とりあえずひとりで風呂に入れるようになったら、お礼をする、と言った。
そしたら、じゃあしばらく、『採取』の仕事を手伝ってくれ、と言われた。




