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白魔女

 目が覚めるとそこは屋内で、頭痛は案外とすっきりしていた。


 もしかしたら寝ぼけている類いの軽いものだ。


 屋内に顕著に印象的なのは本棚に書籍が沢山並んでいること。


 丸いテーブルの上に、森で採れるのであろう果物類が置いてある。


 本と果物と・・・どちらにも興味が沸く。


 そして屋内に誰かいないのか、と疑問を持ち、ベッドのへりに座った。


 するとそこに別の部屋に続く扉を見つけて、そこから女子がやって来た。


 とても可愛い見た目。


 思わず心臓が高鳴った・・・目が離せない。


 美少女は「申し訳ないけど、荷物を調べさせてもらいましたよ」と可憐な声で言う。


「それは・・・仕方の無いことかと」


「ああ、ええ」


 僕はなぜか目をそらして、本棚に並ぶ書籍へと視線を移動させた。



(記憶を取り戻す、なにかヒントがある気がする・・・)



「リブ・・・」


「それはあなたのお名前?」


「・・・え?そうかもしれない」



 なぜ書籍に視線を移動させただけで記憶が蘇りそうになったのだろう?


 不思議な気持ちでいっぱいなまま、「自分はリブです」と答える。


 記憶がありません、と・・・


 

「しばらくの間、この家にいるといいわ。私は白魔女、名前はユリカ。年齢は秘密」



 10代の女子に見えるリリカさんは、どうやら年上らしい。


 しばらく養生のために、リリカさんの家にご厄介になることになった。



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