都会での再会
とりあえず身体が持つ限り、移動。
それしか手はない。
ユリカさんが包んでくれた『ニセグリ』の蒸かしたのを食べる。
ありがたい。
二日、勘で移動して、街に到着。
小さな街に確認法はなく、俺のことを知っている者もいそうにない。
なので乗り合い馬車に乗って都会に向かう。
・・・都会の地面は石畳。
行き交う人々の中で、広場の噴水の辺りを見るとひとりの女が驚いた顔をした。
「ん?」
「リブ?リーブっ。リブだっ。生きてたのねっ」
周りの人々がいぶかしむのを気にすることなく、その女は駈けてきて抱きついた。
「みんな心配してたんだよ。指名手配犯は捕まったからね」
するとそこに、別の男がやって来た。
「・・・リブっ?おい、生きてたんだなっ。どこで何をしてたんだっ」
「・・・誰ですか?」
親しげな男女ははっと息を呑み、まさか記憶喪失なのかと声を上げた。
――
――――・・・
噴水前にいたのは、同僚らしい。
俺の本名はリヴァイアタン。
なぜ樹海の特殊道にいたのか、謎が解けた。
樹海奥に奉納されていた英雄の剣を、都会まで運ぶ役割。
その途中で、凶悪な犯人に襲われた。
同僚として内部に潜入した付き添いの男。
その男は、俺がエルフの紗鎧を着ているのを知らずに剣で殺そうとした。
理由は「リヴァイアタン」って言う名前だったから、らしい。
名前についての性癖者だ。
とても危険な思考回路だ・・・了見が歪んでいる、と皆が言った。
英雄の剣を城に届けて、多額の給料をもらった。
酒を同僚たちと飲みながら、事情を聞いている。
多機能製ズボンポケットに入っていたのは、俺の判断でいつも備えているらしい。
今、俺が記述している白紙だった雑記帳は届けるためのもの。
申し訳ないが、新しいのを贈った。
襲われた時に使用された武器は英雄の剣だったけど、俺は善人だから斬れなかった。
ただ、殴られたで気絶していたらしい。
それで記憶喪失。
いつもの味のはずのビールも、特にすすまない。
気になるのはユリカさんのこと。
相談してみると、意外なことを言われた。
「図書館にある魔法書を読んでみたら?」




