魔法石の採取
風邪が完治したと思しきあたり、「外に出たい」と言ってみた。
「魔法石の粉が足りないから、そっち行ってみますか?」
「魔法石・・・?」
【豆知識メモ:魔法石】
魔法を発動させやすくなる性質を持った石。
その石には意思が宿ると言われている。
その石を使うには代価が必要となる。
ユリカさんの話してくれた魔法石の採取の仕方は意外だった。
目的地に到着して、圧巻。
大木の中に、淡く青く光る魔法石のかたまり。
ユリカさん「この木が精製しているのよ」
僕「周りの青い光は・・・?」
大木の周りにはたんぽぽの花くらいの大きさの光が複数漂っている。
ユリカさんは少し微笑んで、その光をつついて見せた。
こちらを向いて、「害はないの。でも無礼をしてはいけないわ」と言った。
「意思を持っているってこと・・・ですか?」
「そう。神の使いと呼ばれているわ」
「なんだか・・・すげぇ」
ユリカさんは僕の普通の感想に笑った。
「最近では、すげぇ、って言うのね」
「え?」
「すごい、って言い方」
それもそうか、ユリカさんは150年くらい前のひと・・・
用意された区画から特に出てないなら、珍しい喋り方かもしれない、僕。
魔法石の採取について、ユリカさんはお祈りをしてからだと言った。
見様見真似で手を合わせて、天罰とか起きませんように、って祈ってみた。
すると共鳴した魔法石が白く光りだした。
「白く光った分だけ、採取してもいいの」
樹の根元のうろにある魔法石の塊の、白い部分が崩れ出てくる。
まるで将棋倒しみたいに崩れた魔法石を拾って、持参した袋に入れる。
「あっ。なんてことっ」
「どうしたんです?」
ユリカさんが急いで袋を置いて、走った。
緊急だろうか、と思うと茂みにしゃがむユリカさんが僕を呼んだ。
どうやら予想とは違い、薬草を見つけたらしかった。
「これは擦って塗布すると切り傷によく効くんです」
本当に薬草に関しては楽しそうだ。
「緊急の時は、歯で噛んで細かくするって言う方法もあるんですけどね」
「ほ~・・・」
「ただ、虫歯持ちは危ないんです」
「なるほどなぁ」
結局、帰宅のための雑談は薬草のことばかり。
どんどん、薬草に詳しくなってしまう。




