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蜜芋の収穫

 ユリカさんは甘みをおびた芋同士をかけあわせして、「蜜芋」と言う品種を作った。


 そしてその収穫を手伝うことになった。


 ・・・収穫場所は家屋の側にある畑ではなくて、少し離れた茂みの奥。


 この区画はユリカさんが使ってもいいものらしい。


 前に部族の酔っ払いが何かを勘違いして、畑から蜜芋を持っていった。


 それを期に近くに住む部族との交流が始まった、とユリカさんは話してくれた。



「まさか、春を売ったりしてませんよねっ?」


「ふふふ。売ってるのはお芋です」


「・・・ははは!」



 ユリカさんってちょっとユニークな感じが僕のツボをついてるんだと思う。


 ユリカさん以外がそんな冗談めかして言っても、


 心の底からは楽しんだ過去はないような感覚がした。



 

 【 蜜芋:みついも 】



 皮は赤紫、中は黄色。


 おもに焼き芋か煮物にするのが人気。


 年中収穫できるが、最高の収穫時期にあたると、蜜はしたたるほどになる。


 まるで蜂蜜を思わせる天然の甘さ。




 僕がかき集めた枯れ葉を地面に盛ったやつが燃えだした。


 ユリカさんが指をパチンと鳴らしたから、きっと火の魔法なんだろう。


 僕が驚いている間に、次々と洗って水気を切った蜜芋が火に投入される。


 やがて良い香りがしてくるまで雑談。


 蜜芋は、信じられないくらい美味しかった。



 そのあと残りの蜜芋を近くの部族の仲買人と取引をした。


 蜜芋は貴重なもの。


 とりあえず僕の要望で「スライス豚肉」をゲット。



 ユリカさんの氷魔法で、スライス豚肉は冷凍された。


 

 それから顆粒個包装のだしを都会に買いに行ってもらっていたらしい。


 鶏ガラ、コンソメ、かつおだし、昆布。


 それから新鮮なたまご。



 翌日は「しいたけ」と畑の「しそ」の収穫を手伝って、


 『青じそとしいたけのスープ』を作って貰った。


 新鮮なたまごを割り入れて煮込んで、半熟の状態でだされた。



 どうやら僕はそれが平気な人種らしい。


 とても美味しかった。



 なのでユリカさんも、


「たまごが新鮮なうちに手に入る所に住んでたのね」と推理した。




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