蓋
「今日のお弁当は何かな〜!」
口元を緩め、弾む声で蓋を開ける彼女。
その一連の行動が、私には眩しかった。
私の今日のお弁当は、ゆかりご飯と昨晩の残りの野菜炒め、隙間にブロッコリーとトマト。
蓋を開けなくてもわかる。
パカッ
ほらね、言った通り。
お弁当箱の中身は、今朝眠い目をこすりながら見た景色と同じままだ。
強いて違う点を言うのなら、全体的に少し右に寄っている。
お弁当箱の蓋をワクワクしながら開けていた日々が、ものすごく遠くに感じる。
「もう一度、あの感覚を味わいたいな」
なんてことを考えながら、トマトを1粒、箸で掴んだ。




