1 目覚め
激痛が全身を駆け巡る。
18年間生きてきてここまでの激痛を味わったことはない、皮膚から骨まで圧縮されるような熱と痛みを感じて声も出せなかった。
痛みに耐え、もがいているとだんだんと熱と痛みは霧散するように引いていき、しばらくすると目を開けられるようになってきた。
ついさっきまでの痛みで霞む目を開けると、僕はだだっ広い白い地面の上で寝ていた。
「....なんなんだよ..」
さっきまでの熱と痛みを吐き出すように荒い呼吸を繰り返しながら上体を起こし、状況に全くついていけない頭をガシガシとかきむしる。
すると、背後からガチガチと硬質のものがこすれる音が聞こえてきた。
「本当に一体何なんだよ...」
その不快な音に思わず悪態を吐きながら後ろを振り向くと.......
そこには、膝くらいの高さもあろうかという巨大なゴキブリがいた。
あまりの衝撃に声も出ず全く意味のないとりとめのない考えが頭を駆け巡る。
夏になるこの時期には家にもたびたび現れていたな、目測40cmほどもあるコイツは始めて見るな、作り物か?いや奴のキチン質の外殻が軋む音は今も続いている........??...いったい何が起こっているんだ??????
体感では数分の間、現実味のない眼前の光景に、全く現実には役に立たない考えの渦が頭をかき乱したあと。途端に思考が止まり僕は
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ.......」
と18年生きてきて初めての声を吐き出した。
そのこの世と思えぬ声を発したお陰かわからないが、目の前の茶色いデカブツは物凄いスピードで走り去り、あっという間に見えなくなった
「.........いったい!!!!!何なんだ!!!!!!!!!....」
僕の声が虚しく響き渡った。
お読みいただきありがとうございました。