話
※ ※ ※
「──以上がテストプレイの結果となります」
「……」
「プレイ結果はいい。大事なのはその後だ。無事シミュレーション通りコトが進みそうなのか」
「プレイ終了から間もないので、そちらの結果はまだ出ておりません。引き続き監視を続けます」
「結局ターゲットは何人用意するの。まさか全員と接触させる訳じゃないよね」
「最終的にプレイヤーと最も適正の高かったターゲットを男女1人ずつ、プレイヤーと\偶然接触させるよう依頼済です。今回はプレイヤー同士の適性はそれほど高くありませんでしたが、規定値は超えているためプレイヤーの接触率も今後上げていきます」
「どのくらい様子みるんだっけ」
「まずは接触から三か月間様子見します。その後無事次のフェーズへ進むようであれば、更に半年、一年と継続します」
「そんな悠長なことを言ってられんだろう。最終的な『少子化対策』に繋げるにはどう足掻いても期間が必要なんだぞ? ちんたら見ていないでとっとと手を出した方がいいんじゃないかね」
「うーん。でも**さん、これって私達が手を出したからと言ってどうにかなるものでもないでしょう」
「だがそれがヤツらの指示だ! 我が社のソフトが有効性を示せねば、プロジェクトに我が社が参加した意味がなくなるだろう!」
「まあそうですね。とは言えども結果が出るまでに長期的な取り組みが必要なのも事実ですから」
「確か定期的に進捗を評価するんだったよね」
「はい。男女のペアが成立してから結婚、出産等各フェーズへ進めるための指標を算出してあります。これを今回のプレイヤーにも適用し、各ターゲットに対して指標をクリアしているか一定期間ごとに評価し、少子化への貢献が見込める確率が規定値以下になったら次のターゲットに切り替えます」
「つまり放っておく訳じゃなくて、結果に貢献しないペアはさっさと切り捨てるなり次の手を打つなりするってことだよね」
「おっしゃる通りです」
「むう。それならまあいいが」
「じゃあ**君の言う通り、今回のペアについても進めてもらうということでいいですかね」
「いいだろう」
「**さん?」
「了承する。ただ最後に一つ」
「はい」
「本プロジェクトは我が社でもごく僅かの人員しか知らない極秘事項だ。内容も内容であることから、我が社がプロジェクトに参画したことも当然のことながら、プロジェクトがあることそのものを漏らすこともNGだ。**君の同僚、部下はおろか、プレイヤーに知られることすら許されない。それだけセンシティブな内容だ。もし万が一外部に漏れたらマスコミに叩かれ、我が社の信用は地に落ちる。依頼元からの援護は当然望めないばかりか、切り捨てられるのは必至だ」
「はい。わかってます」
「よろしい。この部屋を一歩出たら君はここで話したことを忘れる。記録も残らない。事実なんて何一つない。そう」
「────全て現実ではない出来事だよ」
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
本作は登場人物がこちらの想定と異なる行動を始めることが多かった印象です。
あの人はここまで目立たせる予定がなかったとか裏話が少々。。。
想定より長くなりましたが、何とか完結までこぎつけたのはひとえに読んで下さった方々、応援して下さった方々のお陰です。
本当に、本当にありがとうございました!
皆さまの心に、少しでも何かを残せたら幸いです。
またどこかでお会いできることを楽しみにしています。




