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42 新しい友人

「ヘンリーは余程テアのお母さんに怒られたんだろうね。それでおびえていたんじゃないのかな?彼は両親に怒られた経験は無かったのかな?」


ニコルは歩きながら私に尋ねてきた。


「どうだったかしら・・?ここ数年、ヘンリーの両親は別の領地に行ってるから私は会ってないのよ。でも・・少なくとも子供の頃は逆にとても厳しかった気がするわ。」


するとニコルは言った。


「テア。それじゃ・・・もしかして、ヘンリーがビクビクしていたのは君のお母さんが両親に報告されたくなければ、家に来るように言ったんじゃないのかい?」


「あ・・。」


ニコルの考えは当たっているかもしれない。


「そうね・・・ひょっとしたらそうなのかもしれない。でも・・知らなかった。母は優しい人だと思っていただけに・・・。」


「それはね、テア。たとえわざとじゃなくてもテアに怪我をさせたことや・・・テアがお母さんに本当の事を話さなかった・・いや、話せる立場に置かれていないと思ったから余計ヘンリーが許せなかったんじゃないかな?それだけテアの事がお母さんは大切なのさ。」


ニコルは優しい声で言う。


「そうね・・・・。ありがとう、ニコル。」


私は顔を上げてニコルを見た。


「私、家に帰ったらお母さんに謝るわ。嘘をついてごめんなさいって。」


ついでにヘンリーとキャロルはお互いに相手に好意を抱いているということを母に伝えて、父が帰ってきたら許婚の話は取りやめにしてもらうように伝えようかな・・?そうすれば2人は堂々と一緒にいられるだろうから・・。


「そうだね。それがいいよ。」


ニコルもそう言ってくれているし。


するとそこまで話したとき、丁度第2教室の前に到着した。


「テアーッ!こっちこっち。」


キャロルが教室から私を見て、手を振って声をかけてきた。もちろんダイアナも一緒だ。


「ねえ、ニコル。」


私は背後にいるニコルに声を掛けた。


「何?」


「もう親しい友人は出来た?」


「いや、あいにく・・まだかな?」


ニコルは肩をすくめた。


「それなら・・・一緒に座らない?それで私と友達になってくれる?」


私にはこの大学に知り合いが大勢いる。まだ友人がいないニコルを連れて皆と話をすればきっと彼にもすぐに友人が出来るだろう。彼にはお世話になったから友人作りに協力してあげたい。


「ああ、もちろん。こっちからお願いするよ。でも、俺はもうテアを友人と思っていたけどね?」


するとニコルは笑みを浮かべると言った。


「本当?そう思って頂けたなんて嬉しいわ。ありがとう。それじゃ、キャロルのところへ行きましょう?」


「ああ。そうだな。」


私はニコルに声を掛け・・手を振るキャロルの元へ向かった―。



****


 2限目、3限目の授業も無事終わり、昼休みになった。結局・・この時間になってもヘンリーが大学構内に姿を見せる事は無かった。ヘンリー・・一体どうしてしまったのだろう?


 今、私はキャロル、ダイアナ、そしてニコルの4人で昨日ヘンリーといざこざがあった食堂へと来ていた。

皆で丸いテーブルを囲んで、今日の講義の事と、後期になってから始まるゼミの事についてランチを食べながら話しをしていた。皆これからの大学生活について楽し気に話をしているのに、誰1人ヘンリーの事を気にかける人はいない。・・あのキャロルもだ。ひょっとして、自分からは彼の話題を出しにくいと思っているのだろうか?それなら私の方から話題を振ってみよう。


「そういえば・・ヘンリーは結局どうしたのかしら・・?」


私はみんなの会話が収まってから、話を切り出した。


「そうね?そういえばヘンリー・・・どうしたのかしら?」


キャロルはパスタをフォークで巻き付けながら言う。キャロルが話に乗ってくれた!


「ひどく背中を痛めたんだろう?ひょっとして今日はもう家に帰ったんじゃないのか?」


ニコルはフライドポテトをつまみながら言う。


「ヘンリーって・・誰だったかしら・・?」


一方のダイアナはまだヘンリーと聞いてもピンとこないらしい。するとキャロルが言った。


「ヘンリーって人物はね、テアの許嫁なの。一応は。」


キャロルは・・どこか冷たい言い方をした―。



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