ぶどう狩りに行こうよ
この作品は私が夢で見たものです。
なにか気になる人がいるの?
「うん……1人だけ」
私は母のことが心配だ。女手一つで私をここまで育ててくれたが、最近体調が良くなくとこに伏せている状態が続いていた。
「それなら! 遊びに誘ったらいいんじゃないかしら!!」
……? 遊び?? でも、いい考えかもしれない……
私は母を遊びに誘うことを承諾した。
「そうと決まったらおめかししないとね! おい! お前ら! 出番だよ! とっておきのを用意しな!!」
私は何かおかしいと思いながらも身を委ねていた。
奥の部屋で採寸をされ、豪華なドレスを来る。
別の人にメイクを施され、素敵な靴が選ばれた。
鏡で見た私は見間違えるほど美しくなり、まるでデートみたい……
「さぁさぁ! そうと決まったら次はお付きの人を用意しなきゃね! デートの場所まで送ってもらいな!」
やはり、気の所為じゃなかったようだ。
この人たちは私が最近話したことのある男性のことを好きだと勘違いをしていた。
店を出ると、外には車が用意してあった。
一瞬馬車に見えたが、見間違えで、大人数が乗れるようなトラックであった。
おかしい……何かがおかしい。
普通デートにトラックを用意するだろうか?
お付きの人も何かおかしい。
顔や体や服装は、普通の人間のものだが、猫の耳が着いていた。
「私がお送りします! よろしくお嬢さん」
そう言って私にキスをしようとしたが、間一髪で払い除けた。
「よろしくお願いします」
トラックに乗り込み、私はこれからのことを考える。
これからどうすべきか、デートだと思い込んでいるのだから、一応そのようにセッティングをした方が良いのか、だが、どうしても……
いつの間にかトラックには私を除く3人が乗り込んでいて、車で向かう間私に話しかけてきた……
私はあの男のどこが好きだの、出会いなどたくさんの質問をされ。
「その男にメールを送れ!」
と言われたので、仕方がなくメールを送ったりしていた。
向かっている途中に山道に入り、何やら道路に砂が沢山落ちている。
砂は黄色くキメが細かい砂でよく袋に入っている砂のようだった。
「これは確か……」
「うわ! また砂かよ……」
「どこもかしこも砂が落ちてますねぇ」
「この砂は確か、袋に入ってる様な砂だと思います」
「そうなのか??」
「はい。1度見た事があって……でもこの量はさすがに多すぎる」
「もしかしたら意図的に誰かが破いて回ったのかもしれません」
「意図的ねぇ……」
もし、意図的に誰かがこれを破いて行ったのならば……
この先に誰かがいる可能性が高い。
私は震える手を押さえ込み、平然を装っていた。
もうすぐ着く……
着いた先には、ぶどう農家にありがちな柵が張ってあり、そこに居たのは……
あの男……あの男が居た
袋に砂を入れ、鳩に餌をばらまいている……
一体何がしたいのか理解が出来ないままトラックを降りた。
「着きましたよお嬢様」
「うん……送ってくれてありがとう」
私はこれからの事を考えようとするが、上手く頭が働かない。
これから私はあの男とデートをしなくてはならないのだ。
どうしたものかと頭を悩ませていた瞬間……
「やぁやぁ! よく来てくれたね!」
あの男から話しかけられた。
「ん? こんな大人数でどうしたの?? 僕に逢いに来たんじゃないのかい??」
男はそう言いながら、袋に砂を入れる手を止めない。
「あなたこそさっきから何をしているの……」
「僕かい? 僕は見てのとおり! 袋開けて、袋に砂を入れながら種をまく……」
種を巻いた瞬間鳩が襲いかかってきた。
「ちょっ……! やめて! やめてください!」
「袋を開けて砂を入れて種をまく」
男が繰り返し種をまこうとしたが、私のネックレスを見て豹変したかのように胸ぐらを掴んで軽々しく持ち上げた。
「おい……返せ……それは俺のだ」
「……?」
私は何が起きたか分からないまま男の話を聞いた。
「それは俺のなんだよ。なんでお前が持っている。返せ。俺のだ返せ」
繰り返し叫びながら首を絞めてくる。
……思い出した。
なんで忘れていたんだろう……
この男は……
父だ。
最後まで見てくださりありがとうございました。連載小説も投稿しているので是非見てください