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7's   作者: 小真希
交わりは終わりへ
6/13

闇の雨、雷の救世主

サブタイ考えるの毎回大変。。。

前回同様であまり確認せずの投稿です。ごめんなさい!

 城へと帰った俺は自室のベッドでこみ上げる嗚咽を必死に押し殺した。




 無属性魔法、強化≪ブースト≫で聴力を引き上げ、クドレアとミリアの会話を聞いていた俺は何も出来ずに、ただその場から遠ざかる事しかできなかった。

 自分の無力さに涙し、ミリアの仇を討つべく、ひそかに復讐の炎をその瞳に宿す。




 翌日、俺は書庫に篭り、魔法の習得に励んだ。

 俺が扱えるのは無属性魔法のみ。これは先日サラさんに適正があるかどうか調べてもらった結果だった。

 無属性魔法はスキルと系統が似ているが、他の属性とは異なり、マナと魔力の両方を合わせて使用する。

 昨日俺が使った魔法は強化≪ブースト≫というシンプルなもの。ブースト系魔法の中では汎用的であり、自己強化と違い、あらゆるものの耐久度や威力を、文字通り強化する。そして他属性の魔法やスキルにも応用が利くのが利点で、現在確認されているブースト系魔法の中では最高レベルの魔法だ。

 スキルの全耐性≪オールレジスト≫はあくまで耐性。あらゆるものを軽減しているだけで、熱や痛みも感じ、決して無敵とは言えないが、強化≪ブースト≫を全耐性≪オールレジスト≫に使用すれば、耐性値を底上げできるため、より強力な軽減を発揮する事が可能になる。しかし、魔王は魔王等は魔格(神格)を持ち、人の身とは異なり長命で頑丈な肉体を得る。唯一の弱点は魔格、もしくは神格を持つ者の攻撃だけなのだ。そしてこれは攻撃に関しても同様で、最上級魔法と呼ばれる上級魔法よりさらに強力な魔法が扱える。

 魔格に関しての情報は少なく、これ以上の資料は見当たらなかったが、脅威であることは理解できた。

 

『ウル様〜!いる〜?』


 入り口の方から声が響く。張りのある声と呼び方で声の主はすぐにわかる。


『いるよ』


 机の影から手を振り合図を送ると、スキップをするような軽い足取りでティティがやってきた。


『またサボってんのか?』


『うんにゃ?クー様の許可があるから大丈夫だよ!』


『許可?』


 昨日の今日でクドレアが動いたとなると、俺の思惑がクドレアに筒抜けになっている可能性がある。

 昨日から顔を合わせていないため、疑われてもおかしくはない。朝食だけでも顔を出しておくべきだった。


『今までサラさんがウル様の専属だったじゃん?』


『あ、ああ』


『昨日クー様に、ウル様の専属になりたいって言ったら、いいよーって!』


『ん?ティティが頼んだのか?』


『そだよー。ウル様の事好きだし、何より楽そうだし!』


『ああ…そう…』


 間違いなく後者が本命だろうな。

 ティティらしい。気持ちはわかるが、ひどい理由だ…。


『なら、サラさんはどうしたんだ?』


『いい機会だから休暇を取れって言われてたよ。反発したサラさんにクー様困って、最後はウル様のせいにしてたよ!』


『ひどいなぁ。まあでも、サラさんには休んでほしいから結果的に良かったかな?』


『あ、それでね?ウル様の体調が悪そうだから治してこいって言われてたんだけど、どこか悪いの?』


 体調が悪い?そんな事はない。健康そのものだ。風邪引いてる感じもしないし。


『特に問題ないと思うけど、どこが悪いんだ?』


 顔を近づけて覗きこむように見つめるティティの目が赤く光る。


『うーん?精神支配系の魔法でもかけられた?なんかトゲみたいなのが刺さってるね』


『精神支配!?なんだよそれ…治るのか?』


『たぶん治せるよ。でも初めてだから失敗しても怒らないでね?』


『えっ!?』


 治る保証もなく、ぶっつけ本番!?しかもティティだ。不安しかない!!!


『ちょっ!ちょっと待て!何か副作用とかあるのか?…痛い?』


『大丈夫だよ。ウル様はボクの事好き?』


『は?何でそんな事聞くんだ?』


『いいから!好きか嫌いかどっち?』


『急に何なんだよ?好きだけど、何か関係あるのかそれ…』


 ティティのぷっくりとした柔らかく弾力のある唇が俺の唇を塞ぐように重なり合う。

 肩から首へと伸ばされる腕に逃げ場を奪われ、唇をこじ開けるようにティティの舌が強引に入ってくる。

 初めての濃厚な大人のキスに脳が痺れ、蕩けるような多幸感に包まれて真っ白になる。結び合せるかのように舌を絡ませ合い、口を通して暖かいものが流れ込む。


 これは…魔力…いや、魔法か?


 離れる二人を繋ぐかのように艶かしく糸を引く。

 重なる視線。気恥ずかしさに顔から火がでる勢いで熱くなる。


『…何とか成功…』


『…魔法だったのか』


『うん。たぶん精神に影響を与える毒がウル様の中にあったんだと思う』


 毒と言われても、全く心当たりがない。けれど、不思議とスッキリとした晴れやかな気分だ。さっきまでクドレアに対して抱いていた憎悪や憤りも感じない。

 ん?…まさかあれが毒だったのか!?


『昨日あの後誰かにあった?』


『ああ、そういう事か…』


 犯人はおそらくミリアだ。しかし、あの時抱いた感情の全てを否定できない気がする。

 今でもミリアの事を友人のように思っているのは事実。

 クドレアは俺を利用しようとしていると言ってが、今なら何故そのような事を言ったのかもわかる気がする。


『何でニヤニヤしてるの?もしかして今のキスでボクに惚れちゃった?』


『ん?ああ、惚れた惚れたー』


 適当にあしらわれて怒るティティを置いてクドレアの元へと向かった。


『少し、良い?』


『ウルか。ティティはどうした?』


『その件できたんだ。ありがとうクドレア。おかげでスッキリしたよ』


『そうか。なら良かった』


 昨日の事を少し話し、昨日のクドレアの言葉の真意も確認が取れて安堵する。


『そういえば、ウルに渡す物があるんだ。少し付き合ってくれるか?』


 クドレアに連れられ、書庫の隣の部屋へとやってきた。普段使わないため、物置のような状態になっており、以前一度覗いた時は散らかっていたが、今は綺麗に整頓されていた。


『これだ』


 クドレアが手にしたものは小さな写真。

 そこに写っていたのは三十代半ばくらいの女性。


『誰?』


『この人はタカコ・タマキ。かつて異世界からやってきて、この世界を平和へと導いたとされる女神だ。東の国、バルトロスを造ったとされる偉人でもある』


 タカコ・タマキ。環タカコ、か?

 そういえば爺ちゃんが昔、婆ちゃんの話をしてくれたっけ。

 神隠しにあったとか聞いていたが、名前までは覚えていない。

 実はこの世界に来てたりするのか?


『我が昔世話になった恩人でな、まるで母のような女性だった。強く優しく、顔や性格は主に少し似ておる。もう何百年前も前の事になるがな』


『…』


 …たまたまか?

 それにクドレアの遠くを見つめるような優しげな目からして、もうこの世にはいないのだろう。

 その人の素性がわかったところで別に何もない。会ったことすらないのだから。


『おお、そういえば、猫を二匹連れていたな。あいつらはまだどこかで生きてるかも知れん。ヨウカイとかいう種族の中でネコマタと呼ばれていたか』


 妖怪!?しかも猫又?それって…


『妖怪ってこの世界にもともといるのか?』


『わからん。調べたわけではないが、シロとクロ以外では今まで見たことがない。気になるなら東の社に行ってみると良い』


 社、か。いかにもそれっぽいな。

 それに、直観的に何か感じる。

 呼ばれているような、そんな気分だった。


『ありがとう。明日あたりに見に行ってみるよ』


『そうか。ならティティを連れて行け。あやつはお主を気に入ってるようだからな。頑張れよ』


 ん?頑張れ?


『今さらっと何か言ったよね?もしかして、ティティを押し付けようとしてる?』


『ば、馬鹿を言うな!我がそんな度量の小さい魔王に見えるか!?』


 見えたから言っているんだ!というのは黙っておくか。まぁ、ティティなら気を使わないで済むしな。



 翌朝、嫌がるティティを強引に引っ張りクドレアが部屋にやってきた。


『そう暴れるでない!ティティはウルが嫌いか?二人で旅ができるのだ。もっと喜べ』


『ちょっとクー様!内緒だって言ったじゃんっ!!!』


 顔真っ赤にしながらクドレアに詰め寄るティティを見ていると、つい構いたくなってしまう。


『俺とじゃ嫌か?俺はティティじゃないと…その…』


 自画自賛だが、完璧な演技力!

 クドレアがアイコンタクトとジェスチャーを使って更に煽る。


『俺あれからずっと意識してるんだけど、ティティは違うのか?』


『え?つまり…どういう事?』


『え?それは…つまり…???』


 あれ?何か逆だよね?これはティティをいじる展開だよね?


『それは?』


『それは〜?』


 クドレアまで便乗してくる始末。

 これはもう俺の負けです。負けでいいです!

 開幕早々放ったストレートは避けられ、カウンターで一発K.Oしたようだ。


『…好きだよ』


『『………』』


 無表情で無言になる二人。

 この空気嫌い…。クドレアのこういうノリは本当ティティに似ている。

 あんた魔王だろ…。


『それで、ウル様どこに行くの?』


 すぐに切り替えられるティティがすごい、とか思ったけど、俺は無理だぞ…。


『…東の社だ。ちなみにティティも行くのは確定らしいからな。文句はクドレアに言えよ?』


『フフフ、文句は受け付けないぞ?サラから毎日苦情が来て大変だったのだ。これくらいは当然だし、ウルと二人きりになれるチャンスだぞ?』


 サラさんのお怒りよりはマシだろうが…まだやんのかその件。


『えー遠いじゃん!何日かかるの!?』


『馬車でも片道一週間はかかるだろうな』


 想像以上に遠い距離に絶句する。

 軽いピクニックにでも行くような気分で頷いた事だったのでさすがに驚く。

 一週間かかるとなると、おそらくネフェルではない。

 東の社…バルトロスの事か!?

 だがしかし、旅、いいじゃないか!

 露骨にめんどくさそうな顔するティティとは裏腹に、俺は未知なる旅、冒険に心が躍るのだった。

 

まだまだ続きますし、まだまだ書きたいです!

何かお気づきの点がありましたらコメント残していただけると嬉しいです。

編集というチートのような機能で修正改善消去で頑張りますので、よろしくお願いいたします!

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