怪物と遭遇し、王城で戦う
部屋に戻るため、通路を歩いていたロス達。
「僕はどうすればいいんだろう?」
ロスの足取りは重かった。
勇者は希望だ。そのような大任を任される自身の無さと、約束を守れなくなるかもしれないという思いがロスにのしかかっていた。
「ロスの決断に文句を言うやつはおらんじゃろ。自分しかできないと責任に潰されては元も子もないのじゃ」
「にいにの道、ユウ達付いていく」
ユウがロスに抱き着いてくる。
一生離れないと言う意思表示のようだった。
ロスは微かに笑い、外を見る。太陽の光が照らしていた。
「ん?」
突然、太陽を遮るように漆黒の雲が出現する。
大量に現れたそれは、瞬く間に王国を包み込み、世界を闇へと変えた。
「何事――っ!」
ロス達の足元が影の様に黒く染まっていく。
その場から飛びのくと、影から漆黒のモンスターが這い出てきた。
剣を持った鎧姿の怪物。その顔は虎の頭蓋骨のようだった。
怪物が骨を鳴らしながら咆哮しながら襲い掛かってくる。襲い掛かって来た怪物をロスは炎魔法で焼き尽くした。だが怪物は燃えながら影に沈むと、再び無傷で這い出てくる。
例え風で切ろうと雷で砕こうと水で押し流しても怪物は甦って来た。
「きりがない、ひとまず逃げよう」
ロスは三人を背負うと、風魔法で怪物を足止めしながら通路を駆け抜けた。
抜けた先の広間でも多くの怪物が出現し、兵士達が交戦していた。
王国の精鋭だけあって怪物たちに引けを取らないが、倒しても甦ってくる不死身の軍に押され始めていた。
ロスは兵士達を助けるため、大声でこの場を離れるよう呼びかける。
だが兵士たちはロスの言葉を無視した。
「貴方達! ロスの言うことを聞きなさい!」
「うるさい! この怪物たちを読んだのはお前たちじゃないのか⁉」
兵士たちはモンスターであるロスとメツを疑っているようだった。その姿を見てロスは言葉を失う。
やはりモンスターに対する偏見はそう簡単に消えないものだった。
――それならば自分が勇者になっても何も変わらないのでは?
ロスが呆然としたその隙に怪物たちが迫る。僅かに反応が遅れたロスは、せめてピカ達は守ろうとするが、
「はあい、みなさあん。その方が言う通りにい、今すぐ非難しなさあい」
広場に響く間の抜けた声。
その瞬間、怪物が床から生えて来た植物にからめとられ、縛り付けられる。
ヨウはロス達のもとに、先ほどと同じ調子でゆったり歩いてきた。
「さっきぶりですねえ」
「ヨウさん⁉ なぜ貴方ここに?」
「あれえ、言ってなかったですかあ? 私円卓の騎士第五位なんですよお」
「ええ⁉」
ヨウはうっかりしてた言わんばかりに舌を軽く出す。その後ろでは怪物たちが抜け出そうと必死でもがいていた。
「殺しても甦るならあ、捕まえておけばいいんですよお。私の土魔法で捕まえればあ、新しい敵は出て来ていませんしい」
ヨウの言う通り、増援はない。
「つまり、敵の数は有限?」
「そのようですう。ですがあ、早く本体もしくは術者を倒さないとお、被害が増えるだけですう。犠牲者も出ていますしねえ」
急がなければならないが、気持ちだけが焦るばかりで打開策が思い浮かばない。ロスは自身の無力さに手を振るわせた。
「もしかしたら」
「ユウ?」
ユウの言葉にみんなが反応する。
「これは影、光を浴びてできる。だから――本体、上」
ユウの言葉を信じ、ロスは窓から飛び出し風魔法で城壁を昇っていく。その中でマチやマムシが怪物と戦っているのが見えた。
――急がないと
ロスは何も考えず、駆けた。
そうしないと不安に押しつぶされそうだった




