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立ち枯れ

―――『人間らしく』生きるって、どういうことなのだろう?―――

ベッドに横たわりしは、最愛の母

いつか見せた温かい笑顔も、

慈愛と真心のこめられた言葉も、

不運が全てを過去のものにした。

機械頼りに生きる様は

その者の心を大いに蝕んだ


ベッドに横たわりしは、治らない患者

虚無に彩られたその顔も、

寸とも動かぬ紫陽花色の唇も、

不運が全ての原因だった。

機械に繋げて生かすことに

その者は最後まで抵抗した


「例え二度と笑顔を見せなくとも

例え二度と口を開かずとも

最愛の者(はは)はまだ生きられる』のだ」


「生命維持は機械頼りで

刺激に対する反応無し

それで『生きている』と言えるのだろうか?」


「仮に何年もかかろうと

望みがどれだけ薄かろうと

『母は快復するかも知れない』

その希望を摘み取ってほしくない」


「どれだけ患者に同情しようと

いくら我々が最善を尽くそうと

『助けられない患者もいる』

その事実を受け止めてほしい」


愛する者の命は尊く

永久(とわ)の別れは受け入れ難し

死を恐れるあまり人間は

無我夢中に『生』を望む


全ての患者の命は重い

しかしもしも『生』への渇望が

『死』と紙一重な『生』を生むのなら

永久(とわ)の別れこそが慈悲となる

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