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はじめに
昨今、実学を重視する風潮もあってか、人文科学系の風当たりが強い。特に経済学や法学、そして経営学ならまだしも、「文学」はただの戯れにすぎないと思われているのではないだろうか。
それに対し、大阪大学文学部学長の金水敏さんは卒業セレモニーで「しかし、文学部の学問が本領を発揮するのは、人生の岐路に立ったときではないか、と私は考えます」と述べている。確かにこれはある一面を捉えている。
しかし卒業の場だということもあってか、控えめであると考えている。結論から言ってしまえば、人文科学で扱われる諸問題の中に、社会問題──フェイクニュース、性的マイノリティー、国際化、障害者問題を<解決>する糸口があるからである。この小論では文学的手法に基づいて、あるいは文学作品を使いながら、社会問題を見ていく。
希望的な観測でも、過大評価でもない。それを見ていくとしよう。