大根おばけ
大変お待たせいたしました。
お詫びに今回は増量しました!
…………ああ、やっと終わったか………もう嫌だ……
まだ痛いような気がする……とりあえず体をチェック――ん? んん!?
え、周りの奴ら、でかくね!? なんでこんな急成長した――いや、違うわ! これ、多分僕が小さくなってんだ! 進化したのに逆に小さくなるのかー、ちょっと想定外。
うーん、それにしても、随分とコンパクトになったなー。高さは周りの……6分の1くらいか? そのまんまミニチュア版にしたような感じだな。
そうなると高さは……そうだな、前来た3人組の身長を180センチくらいと仮定してみよう。いかにもガタイ良くて大きそうな感じだったからな。
で、周りの草がその1.5倍くらいだったか? となると、180×1.5は……えーと……270かな? へえ、ここらの草ってそんなデカかったのかー。改めて数字に直してみると、それがよく分かるな。
で、肝心の僕の大きさ。6分の1くらいだから……270÷6で……45か?
【スキル:算術のレベルが2から3に上昇しました】
お、久々に上がったな、この残念スキル。
へー、僕はだいたい45センチくらいなのか。まあもしかしたら全然違う可能性もあるけど。
45センチ……どうなんだろ。地球基準だと……あ、結構どこにでもあるな。山なんか行くとそこら中に生えてて意外と邪魔なパターンだ。
でだ。こっからが大事。僕はマンドラゴラに進化したわけだ。てなわけで、地中にはおそらく人形の根っこがあるはず! どれどれ……
……地中だから見にくいな。
あ、そういえば、感知だと生き物だけじゃなくて土とか石とかから出てるエネルギー? も感知できちゃうみたいだ。それはそれで嬉しいんだけど、この機能、こうやって地中見たい時は邪魔以外の何でもないんだよね。
まあいいや。感知にできる限り集中して……
……お? おお? おお! はっきりとまではいかないけど見えた! 人の形した奴!うわー、すげえ。
前にテレビで人の形した大根見たことあるけど、あれみたいな感じだ。何か面白いな。
――動けるかな? 身体操作で……
モゾッ……モゾッ……
おお、やっぱ少し動いた! これなら頑張れば地中から自力で脱出もできそうだな! 土が邪魔で身動きとれないんじゃないか? とか一瞬思ったけど、そんな事なかったな。
ま、脱出はもうちょっとしてからでいいや。
じゃ、おニューのボディを確認した所で、次はステータスだ! 果たしてどうなってるのか。
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名前:無し 種族:マンドラゴラ 系統:植物系
Lv.1 体力:35/35 魔力:50/50
攻撃:25 魔攻:40
守備:25 魔守:50
速度:25 養分:220
状態:通常
スキル:算術Lv3 混乱付加Lv12 集中Lv6 感知Lv7 瞑想Lv2 混乱耐性Lv4
魔力操作Lv6 気配遮断Lv1 光合成Lv7 工作Lv1 罠隠蔽Lv1 勇気Lv4
痛覚軽減Lv7 身体操作Lv6 乱撃Lv7 麻痺付加Lv1 絶叫Lv1 即死Lv1
実績:数学者 物忘れ 孤独 間抜け 魔導師見習い 変質者 不動 栄養豊富 発明家
三日坊主 罠師 柔能制剛 奇跡 一騎当千
―――――――――――――――――――
おおお! 強っ! 多分実績で底上げされてるのもあるだろうけど、それでも強い! 今までの1レベとは段違いだな。
で、追加されましたね、スキル3つ。すごい気になるから早いうちに試しときたいなー。特に即死。ザ○は決まるとスカッとするもんね!
……何か忘れてるような……? まあいいか。
じゃあ、お待ちかねの脱出ターイム! 身体操作、最大出力! ………………(決まったな)
……よし、どんどん掘り進めてこう! 別段深いわけでもないし、長くはかからないはず! ほれほれほれほれー!
――あ、今のは「掘る」と「ほれ」をかけたわけで――
お、頭……頭? まあいいや、が地面から出たぞ! もう少しだ、ラストスパート! しゃああああ!
よし、あとは下半身だけだ! 腕らしき部位が出てるからこっからは楽だな。よっこい……しょ!
……あれ? あんまし楽でもなかった。まあいいや、続行しよう。
――この足が出れば! 晴れて僕も地上デビュー! 1、2の……3!
スポッ
よっしゃ、完全に出れた! イヤッホー! バイバイ地中、そしてよろしく地上!
改めて見ると、僕の体って、まんま人形の大根だな。色がゴボウに近いだけで。
あ、でも、目と口らしき凹み? 穴? があるな! ファンタジー感がすごい。何か嬉しくなってきた!
じゃ、ここはラジオ体操でもして、新しい体に慣れるか。うろ覚えだけどね。
1、2、3、4……うーん、この感覚。久々だ。人間に戻ったようにも思えるな。まあ本当は大根のバケモノなんだけど。
あ、そうだ。大根部分の大きさはだいたい周りの草花の3分の1くらいだった。頭の草と合わせると……135センチくらい? フードとかマスクとかで完全装備してランドセル背負ったら、小学生だって言ってもバレないかな? ……いや、無理があるな。頭に草生やした小学生なんて、居てたまるか。
さーて、何するかなー。お、蝶が来た。この度地上デビューしました、マンドラゴラと申します、どうぞよろしく。
じゃ、こいつでスキルの実験でも……ん? 蝶? ん……ああ! そうだ、テン! あいつどうした!?
……あ、いたいた! 地面に落ちてた。危ない危ない……ほら、こっちだ。姿がまるっきり違うけど、僕だよ、僕。…って、詐欺か。まあそんな下らないことはおいといて、こっち来い。
……んー? どっか違う方行っちゃうなー。何でだ? うーん――あ、葉っぱを差し出さなきゃダメかな? ほら、こっちこっち。……頭の葉をテンの方に下げてて、これ完全に土下座の構図じゃん。僕がテンに何したってんだよ! ……まあ、茶番はもういい。え、これでも来ない?
何で? えーと――――――! そうだ。前にどっかの本で読んだ気がする。蝶の幼虫って、決まった種類の植物の葉しか食べないんだ。異世界だからどうかはわからないけど、今の状況的に多分そうだろうな。
ん? となると何で魔草の時は……あれはアミルズ繋がりで同じ種類認定だったんか? となると、今回はどうあがいても無理そうだな……。
じゃあ、テンとはもうお別れか……。短い間だったけど、これまでありがとな。お前のおかげでどうにかつまらない生活を耐えていけたよ。これからも葉をいっぱい食べて、大きく育てよ。あ、蜘蛛には気をつけろな。
……もう他の草に向かってってる。お前は最後までマイペースだなー。じゃあな。
うーん、これからは1人だと思うと、寂しくなるな……。
まあ、いつまでも後ろ向いてちゃ始まらないよな。よし、気を取り直して、スキルの検証でもするか。じゃあ……まずは、絶叫からかな。麻痺付加は他に誰かいないとだし。即死も同じく。
じゃ、叫びますか。普通に人間だったころの要領でいいんかな? じゃあ、息吸って……すううううっ、
「ギい゛イ゛ア゛あ゛ア゛ア゛あ゛アあア゛アァ゛ァぁァぁ゛!!!!」
う、うーわっ!! ひっでぇ!! 何だよこの世にも恐ろしい叫び声!? まあ上げたのは僕だけど!
え、ちょ、この声は流石に酷過ぎないか!? 何て言うか、こう、子供の叫び声とオッサンの叫び声を混ぜたような感じだ。甲高い声とか普通に大音量とかの方がまだマシだわ!
ま、まあそれはいい。これの使い道って何だ? マンドラゴラって物語だと叫び声で生き物が死ぬってよく言うし、付加とか使うんかな? ちょっとやってみ……あ、それだとテンが巻き添え食らうじゃん。危ない危ない。じゃ、防音壁でも作るか。えーっと……ここか。じゃ、魔力操作で土の小部屋を……
【スキル:地属性魔法を獲得しました】
――――お? おおおおおおおお!! 待ちに待った魔法キタコレ!! やっとだ! 良かったー、マンドラゴラでも魔法は使えたみたいだ。じゃ、早速! 地属性魔法!
…
……
………あれ?
も、もう1回。地属性魔法!
……何も起こらない。え!? 魔法ってどう使うの? なんか唱えなきゃいけないわけ? そういや、上アミルズ魔草のスキルは「詠唱破棄」だったな……。嘘だろ? ま、まあ、まず一応、「壁」って唱えてみるか。よし……
「かエ゛」
ズゴォッ!!
【スキル:地属性魔法のレベルが1から2に上昇しました】
――うわっ!! ちょ、唐突だな! あ、詠唱って、ただやりたい事を言えばいいだけなのか。なーんだ、それなら楽チンだな。そうだ、魔力は……10減ってら。結構食うなー。まあ、テンの命には代えられないよな。よし、じゃあ……
「え゛ンぞォ」
よし、天井ができた。厚めに意識したから、多分大丈夫だろう。じゃ、早速即死を……一応ちょっと離れるか。
よし、こんくらいで十分だろ。もう80mくらい離れたし。じゃ、すうううううううっ、
「ギい゛イ゛イイ゛いイイ゛イい゛イイい゛イああア゛ああ゛アッ!!!」
【8の経験値を獲得しました】【6の経験値を獲得しました】
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申し訳ありませんが、これからも更新ペースは前のようにはいかないと思います。夏休みも明けてしまいましたし、書き溜めも作っておきたいとも思っているので。
しかし、できるだけ早く更新できるようにはしますので、これからもよろしくお願いします。




