プロローグ
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「やっぱ高校生活っていいわー」
こんなことを呟きながら自転車を漕いでいるのは、川崎茂。
つい一週間前に高校に入学したばかりの高1である。
また、彼はネットで主に異世界転生モノを読むのが趣味であり、好きなものの最新話が出てるかチェックするのは日課である。
ただ、それを“実体験”するなんて、夢にも思っていなかった……
家に一番近い交差点に差し掛かり、彼は、帰ったらニ○ニコでも観るか、などと思いながら渡ろうとした。
その時だった。不意に横からけたたましいクラクションの音がした。
彼が何が起こったのかそちらを急いで見ると、すぐそこまで大型車の影が迫っていた。
「―――――――ッ!!!」
交差点に信号がなかったのと、両者の不注意が災難だった。
次の瞬間、彼は空中にいた。大型車に激突された衝撃で、まるで蹴り飛ばされたボールのように空中に投げ出されていたのである。不思議なもので、時間が現実よりもずっと長く感じた。彼は一周回って、ああ、こういう時って本当に時間って長く感じるんだ、と考えられるほど冷静になっていた。
(はあ…、嘘だろ、おい……)
そして、彼は地面に叩きつけられた。全身に痛みが走った。不幸なことに頭も強く打ってしまった。
(僕は、死ぬのか……?)
そう思いながら、彼は痛みや傷口から流血している感覚などを感じていた。
(高校生活始まったばっかなのに…はあ…何でだよ…何でこんな目に遭わなきゃいけないんだよ……畜生…ッ…)
そうして、彼の意識は朦朧としていった。だが、その薄れ行く意識の中で、彼はこんなことを考えていた。
(――異世界転生とか、出来たりしないかなあ……まあ、そんな事あるわけないよな……)
だが、何の偶然か、すぐ側に目には見えないほんの小さな時空の裂け目ができていたのであった。
少しして、彼は物言わぬ死体と化した。この周辺は贔屓目に見ても都会とは言えないため、元々人通りも少ない。衝突した大型車の運転手も、罪に問われるのを恐れたのか、そのまま逃げ去ってしまった。そのため、救急車を呼ぶ人は誰もいなかったのである。
ここで彼、川崎茂の短い人生は幕を閉じた……はずだった。
しかし、小さな時空の裂け目に彼の魂が偶然入りこんだことで、それは変えられた。そして、彼は二度目の人生を歩んでいくことになる………
――“異世界”で。