最強魔法がヤバすぎる!
~とある森の中~
はぁっはぁっはぁっ!
チクショー、なんでゴブリンごときから逃げないといけないんだ!
普通は異世界転生したら無双出来るもんだろうが!
ゴブリンなんぞ一瞬で倒せる雑魚だろうが!
これも神のせいだ。
神がこんなチートを寄越すから。
~回想~
「お前を異世界に転生させる前に好きな力を一つやろう」
「よっしゃチートキターwwwwwwwww」
やっぱ異世界転生にチートは必須だよね。
一個ってのはケチ臭いが、まあ仕方ない。
さて、どうするか?
やっぱ王道でハーレムチートか?
いやモンスターがウジャウジャ居る世界らしいから戦闘に使えるチートじゃないと。
なら最強の剣とか最高の肉体とかか?
ダメだ、俺は自慢じゃないが今まで喧嘩もしたことないチキン君だし。
カツアゲされたら即サイフ出す位のビビりだぞ俺。
不良が怖くて中高合わせて六年間のベテランパシリだぞ俺。
そんな俺に接近戦なんて絶対無理!
「おーい、早く決めてくれー。儂これ終わったら書類仕事せなかんのやー」
「神様なのに書類仕事あんの!? 」
神様も楽じゃないんだな……。
おっと、それよりチート決めないと。
遠距離攻撃ならビビりの俺でも多分大丈夫だろう。
なら異世界で遠距離攻撃といったら……
「異世界で最強の攻撃魔法を無制限で使えるチートを下さい! 」
コレしかないだろ。
俺ってネトゲでも剣より魔法のほうが好きだし。
「…………本当にいいのか?」
なんだ今の変な間は?
「いいんです! 」
「本当にいいんだな?」
なんだ? えらく出し惜しみするな?
「本当にいいんです!! 」
「本当に本当にいいんだな? 後悔しないんだな? 」
しつこい! 確認は一回で充分だろ。
あっ! ひょっとして最強魔法が強すぎて俺に使わしたくないとか?
俺ひょっとして当りチート選んだ?
だとしたら俺って天才じゃね!
「本当に本当にいいんです!!! 」
「どうなっても儂は知らんからな」
ウシシシ! 最強魔法で無双しまくって女の子にモテモテになって最高の異世界ライフを送ってやる。
待っててね、異世界の可愛い女の子達!
~回想終わり~
なのに、なのに、なのになのになのになのに!
なんで最強魔法が
『惑星破壊』
なんだよ!
おかしいだろ!? なんだよこの危険度マックスな魔法は!
【惑星破壊・・・使用者の居る惑星の中心に高エネルギーを召喚し惑星を破壊する魔法。使用後惑星が消滅するのが特徴。その威力は一度でも使えば確実に世界が滅ぶ。この魔法は開発されると同時に封印された幻の魔法。間違いなく世界最強の魔法である】
確かに最強だろうよ!
一回でも使えば世界が滅ぶんだからな!
つかコレ作った奴、絶対頭がイカれてるだろ!
そら封印されるわ。
「ウガーっ!」
げっ!? 追い付かれる!
マズイぞ! マズイマズイマズイマズイマズイ!
クソっ、このままだと殺される!
このまま死ぬぐらいなら使うか? ひょっとしたらチート補正で俺だけは助かるかもしれないし。
「ウガーーーーっ! 」
ええい、自棄だ!
「『惑星破壊』!!!! 」
ーーその日、一つの世界が滅んだーー