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部活-4-

 トランプの罰ゲームは、みんなにジュースを奢ることになった。

 だが時間がもうなかったため、奢りは放課後まで持ち越しとなっていた。

 結局、照と渚は午後の授業には出るよう瑛太と悠里にそれぞれ言われた。

「めんどくさ」

「わたしは元から出るつもりだった」

 二人の言い分をあっさりと聞き流し、それぞれの教室に向かった。

「あすかっちは何組ー? 今度遊びに行くからさー」

 もう直ぐ予鈴が鳴るというのに、陽が呑気に飛鳥に聞いてきた。

「えっと、三組です」

「は?」

 それに反応したのは陽ではなく照だった。

 飛鳥はまさかと思い、照の方を恐る恐る向く。

「同じ、なんですか?」

「……帰る」

「流石に午後は出ろ」

 踵を返そうと照はするが、その首根っこを瑛太が掴んで阻止した。その彼の行動で同じクラスだとわかってしまった飛鳥は流石に神様を疑った。

 飛鳥と照は互いに無言となったが、空気を読まずに陽が笑った。

「仲良しだなー」

 何が言い返そうと二人はするが、予鈴がなってそれは無理となった。



『なんで同じクラスなんだよ』

『わかりませんよ!』

 授業中、照と飛鳥は手紙でやりとりをしていた。互いの携帯の連絡先が知らないため、こうして紙を使うことになっていた。

 しかも照の席が廊下側の列の一番後ろの前に対し、飛鳥の席はその真後ろ。つまり列の一番後ろで照の席の裏となっていた。

『しかもなんで席近いんだよ』

『それも知りませんよ! 空いてたのがここだけだったんです!』

 今の授業は英語で、今後の授業の方針ややり方の説明をしているため、何か起こらない限り生徒を指名することはない。

 なので照は容赦なく罵声が書かれた紙くずを飛鳥の机に投げる。

「も、もう!」

 律儀に飛鳥は全部の紙くずに返事を書き、全部照に返していた。

 そんなやりとりを黙って見ていた隣の席のクラスメイトが、思わずくすくすと笑ってしまうほど、そのやりとりは微笑ましいものだった。



「ねぇ、二人って知り合いだったの?」

 授業が終わり、ぐったりしている飛鳥にクラスメイトが気になって声をかけてきた。

「え? えーっと、その……」

 チラッと照の方を向くが、肝心の彼は授業の途中で腕を枕にして眠っていた。

 なんて言えばいいか戸惑っている飛鳥に対して、クラスメイトがズバズバと言ってきた。

「もしかして幼馴染みとか?」

「ち、違いますよ」

「じゃあ恋人? 遊木宮くん手が早いんだね~」

「それこそ違います!」

「いいな~遊木宮くんをゲットしたなんて。羨ましい~」

「話を聞いてください~……」

 散々飛鳥をからかって楽しんだクラスメイトは、ごめんごめんと謝った。

「じゃあなんで仲いいの? 遊木宮くんだし、何か特別なことくらいしなきゃ関わらなさそうだし」

「その、引っ越したところが丁度、照く……遊木宮くんの家の近くだったから。陽ちゃんを知っててる……遊木宮くんを知った、から」

 思わずクラスメイトの前では名前で呼ばないようにしてしまう。前の会話のこともあり、またそれで弄られてしまうかもしれなかったからだ。

「あ、陽ちゃん知ってたんだ! 顔そっくりだったでしょ?」

「は、はい。最初はびっくりしました」

 話題が変わってホッとした飛鳥だが、他のクラスメイトたちが次々と会話に加わってきたため、結局休み時間ずっと話すハメになった。




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