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生徒会長-2-

「そっか。転校生なら仕方ないね」

「ごめんなさい! 覚えてなくて……」

 廊下側に生徒会長。窓側に部員四人が若干窮屈そうに座り、まるで面接のようになっていた。

「俺は渡会(わたらい) 志馬(しま)。生徒会長をやってます」

「あ、あの! ボクは夏撫飛鳥です!」

「うん。よろしく」

「お見合いか」

 初々しい二人を見て悠里が一言。

 しかし志馬はさっきまでの温和な態度ではなく、部長をキッと睨みつける。

「で、俺が何しに来たかわかるだろ?」

「あー、入部か?」

「違う!」

「なら用はない。しっし」

「おーまーえーなぁー……!」

 犬猿の仲のように両者睨みをきかせており、そんな様子を見て飛鳥はこっそりと隣にいる渚に話しかけた。

「どういうことです?」

「生徒会長ってことは、この部を咎めにきたってことでしょ」

 我関せずといった様子で渚はマイペースに本を読んでいた。飛鳥の反対側にいる照も、めんどくさそうな顔で退屈そうにしていた。

「とにかく! 先生たちに色々と言われてる俺たちに何か思わないのか!?」

「知るか。私たちは逆に褒められているが」

「お前ら個人はいいとして、この部の存在に色々と言われてるんだよ!」

「だから何度も言ってるだろ。この部は楽しむことを更に楽しむ部だって」

「それで何か活動記録を残したのかよ。なんにも提出してないだろ!」

「うるさいなぁ、先生方の犬」

「い、犬とはなんだ、犬とは!!」

 両者は一歩も譲らず、意見を変える気など全くないようだった。

 そんな子供喧嘩のような成り行きを見て困惑していた飛鳥だったが、退屈しのぎでもというように渚が本を読みながら説明し始めた。

「渡会とわたしたちって幼い頃からの仲なの」

「え、そうだったんですか?」

「悠里、わたし、渡会、この場にはいないけど保戸野木(ほとのき)っていう子の四人でいつも遊んでたの。どこにでもいるような普通の子供のように、ただただ純粋に楽しく笑ったりして」

 子供の頃を思い出し、微笑ましくなっている渚の表情を見、彼女のその言葉でその光景を想像して羨ましいなと心の中で思っていた飛鳥。

「幼馴染みなんですね」

「でも、中学は二人と離れ離れになってね、高校で偶然逢えたの」

「よかったじゃないですか。またみんなで集まれるんですから」

「そうならよかったよ。でも中学という三年間はみんなを変えたのよ」

「それってどういう……」

 バン! という扉の開かれる音によって飛鳥の問いは消えてしまった。

 突然の音に、部室にいる誰もが扉の方へ注目する。

 そこには、小柄な女子生徒が立っていた。

 ただの女子生徒なら飛鳥はそこまで驚かなかったが、見た目で全てを持っていかれた飛鳥は呆然としてしまっていた。

 左目に黒い眼帯を付け、学校指定の制服を魔改造しており、両腕と左足には痛々しく包帯が巻かれていて、長い金髪と勝手に付けている黒いマントをなびかせてポーズをとっている姿を見れば、誰だって飛鳥と同じリアクションをとる。

「我が友に邪悪なる異変を感じ取ったのでな。闇の契により我自らが参上してやったぞ」

「……あの子がわたしたちの中である意味一番変わった子よ」

 ため息をつきながら、まるで自分のことかのように恥ずかしいと思う渚。

 そんな渚に、ドヤ顔を見せながら彼女は自分の名前を告げた。

「我が名は闇夜を司り、黄昏に住みし深淵の絶対王者、保戸野木(トワイライト) 初歌(プリンセス)。その身に刻んでおくがいい」

「……この子が、保戸野木(ほとのき) 初歌(ういか)よ」

 あらゆることが同時に頭に入ってきていたため、思考が止まっていた飛鳥だったが、ようやく理解したところで今度はオーバーヒートを起こした。

「………………ぅえええええぇぇぇぇぇぇええ!?!?」




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