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大掃除-3-

 飛鳥曰く、一日で終わらせたほうが気が楽で、また廊下や玄関を汚くされると困るからである。

 一晩で汚すのも普通ではありえないのだが、照だからあり得るという弁解で、照の怒りを買うことで了承を得た。

 一応飛鳥の部屋とは反対側に住んでいる隣人に声をかけてから、大掃除が再開した。

 まずは玄関の近くにある照の部屋。案の定玄関や廊下より汚く、足の踏み場もないほどだった。

「…………どうやってここで住んでたんですか?」

 部屋の壮絶な現状に絶句していた飛鳥だったが、ようやく口にした言葉がそれだった。

 しかし照はケロッと返す。

「普通に」

「照くんの普通とボクの思ってる普通がどこか違う気がします……」

 半分諦めた様子で飛鳥は呟いた。

 嘆いても仕方無いと割り切って、二人は作業に取り掛かった。

 この部屋は特に服が乱れていて、私服が部屋中を覆い尽していた。

 下着類は照に任せ、飛鳥は一枚一枚丁寧に分別していった。最終的に全て洗濯するため、畳まないでおいた。

 部屋にあったタンスの中も調べてみたが、生活必需品が適当に放り込まれてあった。

 そんなタンスを整理していくと、中からスキーの一式が二つ分揃って出てきた。

「照くんってスキーもできるんですか?」

 ゴミを拾っていた照が一旦それを止め、スキーの一式を見てから言った。

「趣味程度だけどな」

「それにしても全部揃ってるんですね。好きなんですか?」

「まぁ、そうだな」

 それで会話が終わりというように照はまた掃除を再開した。

 彼の意外な趣味を知れて、飛鳥は内心で喜んでいた。

 それから黙々と作業をして、散らかっていた服を全て飛鳥の家の洗濯機に放り込んで部屋の掃除は終わった。

「何回洗濯機をかければいいんでしょう……」

「知らん。つかこんなに服あったんだな」

「把握してなかったんですか……」

 次は隣にある居間。

 ソファー、テーブルがゴミに埋もれてあり、台所には使い終わった皿をそのままにしてあった。

 この部屋が一番掃除が大変な場所であると飛鳥は確信した。

「よし!」

 両手で頬を叩き、改めてやる気を出して手をつけ始めようとした。

 時刻はもうすぐ日付が変わる頃。

 照があくびをしながら飛鳥に訊いてみた。

「腹減った。なんか食ってからやらね?」

「ここ終わってから休憩して、残りをやりましょう」

 その直後、ぐーっと誰かのお腹の音が部屋中に鳴り響く。ジトー、と照はお腹の音を鳴らした張本人を見る。

 本人は涙目になりながらもお腹を抑えていた。

「……なんか食わね?」

「食べません……意地でも食べません……!」

 それからも、飛鳥のお腹は鳴りっぱなしになった。うるさくて照が一人で風呂場掃除に行くほどだった。

 風呂場は居間の奥にあり、脱衣所もセットにある。そこに積まれてある大量のバスタオルやシャンプーなどの空の詰め替えパックがそこらじゅうに放置されていた。

「……どこから手つけたらいいんだ」

 結局掃除を始めるのに十数分かかってしまった。




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