9/88
秘密のお話
「ルクソニア嬢。あなたはとても気高い方だ。私はあなたに出会えて、とても光栄に思う。
そんなあなたに敬意を表して、私の秘密をひとつ、教えてあげよう」
「……ヨドの、秘密?」
「そう、私の秘密だ。
聞いてくれるだろうか、ルクソニア嬢」
ルクソニアはドレスの裾を軽く引っ張りながら、頷いた。
「私はね、魔法が使えない代わりに、ほんの少しだけ先の未来をみることができるんだ」
「未来がわかるの?」
「ほんの少しだけ先のね。
だから私は、いま旅をしているんだ。
色々なところをまわって、色々な人々の運命を知るために」
「知って、どうするの?」
「この国の行く末を、見届けたいと思っているよ。そのためになにが最善か、答えを探しているんだ」
「答え……?」
「そう、見つからないかも知れないけどね。
ルクソニア嬢が読んだ本は、きっと古い慣習を書いたものだね。今は、ほんの少しだけ、その本とは違う部分もある」
「例えばどんな?」
「例えば、そうだな。
たとえ魔法が使えなくても、私のように別の得意なことで認められて、生活しているものも少しだけだが、いるよ」
「少しだけ?」
「そう、少しだけ。
その少しの人間は、諦めずに道を探し続けて、自分の居場所を自分で作ったんだ」
「自分で……」
「ルクソニア嬢。
これからあなたがどうすればいいか、もうわかるだろう」




