悪い予感
「へくちっ!」
その頃エドガーは。
ルクソニアをお姫様だっこしながら、廊下を歩き、風呂場へと向かっていた。
急にくしゃみをしたエドガーに、ルクソニアは驚いた。
「ビックリしたわ、エドガー。
風邪ひいちゃったの?」
「いや……ただのくしゃみっす。
誰か俺の噂でもしてるんすかねぇ、
『(裏声で)きゃー! エドガー先生、素敵ー!』って」
ルクソニアは澄んだ瞳で、エドガーの目をまっすぐに見つめて言った。
「それはないと思うわ。アン達からそんな話聞いたことないもの」
エドガーは苦笑いしながら言った。
「お嬢様、相変わらず容赦ないっすねぇ」
「わたし、嘘は言わない主義なの!」
ニコッと笑うルクソニアに毒気を抜かれるエドガー。
「でもまあ、なーんか悪い予感がするんすよねぇ、さっきから。
こういうときの勘は当たるから、嫌なんすけど。お嬢様、何か他に悪さしてないっすかー?」
エドガーに言われて、ルクソニアはむくれた。
「してないわ、エドガー、私を子供扱いしないで!」
「はいはい。」
「もう、本当にわかってるの、エドガー!
私もう5歳なのよ!」
「はいはい。知ってるっすよ」
「もーう、全然わかってないー!」
エドガーは、じたばた足を動かすルクソニアをなんとか落とさないように抱え、廊下を進んでいった。束の間の平穏である。
その1時間後、彼は件の賭けの話をリーゼンベルクから聞くこととなり、その悪い予感が的中するのだった。




