赤の王子の根回し
「ではお言葉に甘えて。いい返事が聞けるまで帰りませんよ? 俺は」
不敵な笑みを浮かべるジュドー。
「言うねぇ。まァ、それも条件次第で追い返すけどな」
キセルを片手に、ニッと笑うリーゼンベルク。
「次は手合わせで勝負しませんか?
勝った方が相手の条件を飲むと言う制約で」
「勝てると思ってるのか、俺に。ナメられたもんだなァ」
「勝てる、までいかないまでも、拳で語り合った仲なら、お互い腹の探りあいなど不要になるでしょう。どうも俺は、コソコソしたことが苦手なようで、こっちの方がわかりあえるんじゃないかと思っただけですよ」
リーゼンベルクは眼光鋭く笑った。
「よく言うねぇ。負ける気はさらさらねぇって目をしてるぜェ?」
「やるなら手を抜かないってだけですよ」
目をそらさずに、不敵に笑う二人。
「手合わせについてはまあ、考えといてやるよ、おいおいおいなァ。
それにしても、もうこんな時間だ。
宿に戻るにしても遅くなる。部屋の用意をしてやるから、今日はもう泊まっていきなァ」
キセルをふかしながら言うリーゼンベルクに、ジュドーは意外そうな表情をして言った。
「いいんですか? まだ夕方ですよ?」
「これからまた森を抜けるとなると、夜を越えるぜェ? まあ、それでもいいなら止めねぇけどよ」
「では、お言葉に甘えて。お心遣いありがとうございます」
頭を下げるジュドーに、リーゼンベルクは笑った。
「生真面目だねぇ、お前も」
「も?」
「赤の王子も、お前さんを寄越してくる前に事前に書面でアポをとってきた。
かたっくるしい文面でな。
そういうところは、やっぱり似るもんかねぇ。共に戦ってるとよォ」
今度はジュドーが笑った。
「ははっ。うちの大将はそういうところはきっちりしたいタイプでして。
俺も昔はよくこづかれました」
「仲がいいこって。お前さんたち、付き合いは長いのかい?」
「12の頃からの付き合いなので、それなりに。嫁さん以上に一緒にいますよ」




